米マイクロソフトは8月19日、同社の主要サーバ・アプリケーションを対象とした新たなライセンスポリシーを、9月1日より適用すると発表した。
これは、サーバ仮想化プラットフォーム上でWindows Serverを動かし、さらにその上でマイクロソフトのサーバ・アプリケーションを動かす場合に適用されるライセンス条項の変更だ。
VMware Infrastructure 3やXen、Hyper-Vといったサーバ仮想化技術では、複数の物理サーバにまたがって仮想マシン(OS+アプリケーション)を移動できることが、大きな運用上のメリットをもたらしている。
しかし、マイクロソフトは、サーバOSおよびサーバ・アプリケーションのライセンスを、物理サーバにひも付けられたものとして規定している。この延長線上で、同社はサーバ仮想化プラットフォーム上の同社ソフトウェアの利用について、「90日ルール」を適用している。ある物理サーバ上で稼働する同社ソフトウェアのライセンスは、(仮想化環境であっても)90日間以内にほかの物理サーバに移動して適用することができない。つまり90日より短い間隔で、VMotionなどを利用することは、ライセンス違反となる。ユーザー企業がライセンス上の適正性を確保するには、90日以内にソフトウェアを移動するすべての物理サーバの数だけ、ライセンスを購入する必要がある。
8月19日に米マイクロソフトが発表した新ライセンスポリシーでは、「SQL Server 2008 Enterprise」「Exchange Server 2007 Enterprise/Standard Edition」「Office Communications Server 2007 Enterprise/Standard Edition」など41のアプリケーションについて、この90日ルールが撤廃される。
今回のライセンス変更は、ボリュームライセンスで購入したもののみが対象で、個別にライセンス購入したものは従来通りのライセンス条項が適用される。サーバOSも対象外。ただし、Windows Serverにはサーバ・インスタンスを無制限に利用できる「Datacenter Edition」がある。
マイクロソフトはまた、31のサーバ・アプリケーションについて、仮想化環境上で利用する場合のサポートポリシーも変更したと発表した。マイクロソフトは、同社および「Microsoft Virtualization Validation Program」(MVVP)で認定された他社の仮想化プラットフォーム上で利用されるこれらのアプリケーションについて、物理環境で利用された場合と同一のテクニカルサポートを提供する。
MVVPは、このサポートポリシーの変更を支える仕組みとして、マイクロソフトが2008年6月に発表した認定プログラム。仮想化ソフトウェア・ベンダは、自社の仮想化製品をあらかじめ決められたテストシナリオで検証し、認定を受けることにより、その上で稼働するマイクロソフトのソフトウェアについて、マイクロソフトにサポートをまかせることができる。
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