デルは11月20日、クライアント端末における同社の新コンセプト「フレキシブル・コンピューティング」に基づく具体的な事業展開について発表した。
フレキシブル・コンピューティングはユーザーの端末自体を管理するのではなく、OSやアプリケーション、個別設定などをユーザーにひも付けた形で管理していく。企業の既存端末を生かしながらも、ディスクレスの軽量端末を最大限に活用する。これにより、IT管理者にとっては集中的な管理が実現する一方、ユーザーにとっては利便性や柔軟性が向上する。「利用者にとっての利便性、IT管理者にとってのTCO、経営者にとってのROIを向上できる」とデル執行役員でアドバンスド・システム・グループ本部長の町田栄作氏は話した。
デルはデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化など複数の技術を使い分け、企業におけるあらゆるユーザータイプをカバーすることを目指す。
具体的には、次の4種類を組み合わせたソリューションを提供していく。
1. 「オンデマンドデスクトップストリーミング」(ネットワークブート)
2. 「バーチャルリモートデスクトップ」(デスクトップ仮想化)
3. 「リモートワークステーション」(ラックマウント/ブレードPC)
4. 「クライアントホステッドバーチャリゼーション」(アプリケーション仮想化)
同社はユーザーを移動性、アプリケーションの作業負荷、扱うデータの重要度の3つの軸で分類し、ユーザーのタイプに適した技術を組み合わせていくことが最適化のカギだとしている。また、上記の技術を活用するには、デジタルアイデンティティを扱うインフラの構築も必要になる。
デルのインフラストラクチャ・コンサルティング・サービス部門は、最適なフレキシブル・コンピューティング基盤の導入を支援する3つのサービスを提供開始する。
1つはアセスメントサービス。ユーザーのタイプ、ITサポートニーズ、データセンターの設置場所などを考慮して、TCO、ROI、推奨アーキテクチャ、導入戦略などを含むアセスメントレポートを提供する。料金の目安は1拠点、400PCまでで約15万円。
2つ目は「プルーフ・オブ・コンセプト」(PoC)サービス。小規模な試験導入サービスで、5台程度のクライアントを設定し、基本的な機能やアプリケーションの利用テストにより、ソリューションの有効性を実証する。
もう1つは「パイロット」。最大100台のクライアントを設定し、規模は限定的ながら本番環境への導入を行う。運用・管理ノウハウの移転も実施する。
利用する製品は、アプリケーション仮想化はマイクロソフト、デスクトップ仮想化についてはシトリックスとヴイエムウェアを採用するという。外部のSI業者との協業も進め、同社のコンサルティングサービスを販売してもらうなど、個別に協力体制を築いていくという。
また、デルは上記の4つの技術のうちネットワークブートとデスクトップ仮想化のためのユーザー端末、「OptiPlex FX160」を紹介した。OSはWindows XP Embeddedに加えてコストの低いSUSE Linux Embeddedに対応。3年間はモデルチェンジしないというのも大きな特徴だ。
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