日本HP、シスコ対抗ネットワーク製品プログラムを発表他社との提携で包括性を確保

» 2009年02月02日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は1月29日、企業向けネットワーク製品でシスコシステムズに対抗するためのアライアンス・プログラム、「ProCurve ONE」を国内でも提供していくと発表した。

 「ネットワークの世界では、シングルベンダ戦略をとっている企業がいる。これをわれわれは『クローズドなソリューション』と呼ぶ。これに対してHPのネットワーキング事業部門ではシングルベンダの環境を構築するのではなく、マルチベンダのネットワークを作り上げる。顧客が市場におけるベスト・オブ・ブリード(注:各分野で最高の製品を集めた)のソリューションを得られるようにすることで、単一のベンダに囲い込まれないようにしたい」とHP アジア&パシフィック ProCurveネットワーキングマーケティングディレクタのアモール・ミトラ(Amor Mitra)氏は話した。HPはオープンなエコシステムをアライアンスベンダとともに作り上げるという。

HP アジア&パシフィック ProCurveネットワーキングマーケティングディレクタのアモール・ミトラ氏

 シスコはデータセンターで利用される製品を包括的に提供している。スイッチ、ルータだけでなく、ファイアウォール、負荷分散、ユニファイド・コミュニケーション・サーバなどを包括的に提供している。するとシスコ以外のベンダがビジネスに入り込むことが難しい。例えば支店のネットワーク環境を整備する顧客は、ファイアウォールをルータやスイッチとともに導入したいが、ファイアウォールのベンダは自社製品だけでは顧客ニーズに対応できない。こうした状況に不満を持つベンダと協力し、共存共栄できる場を提供するのが「ProCurve ONE」の目的だという。

 「ProCurve ONE」では、HPのコアスイッチ「ProCurveSwitch 5400zlシリーズ」および「ProCurveSwitch 8212zl」に装着できる同社製のx86サーバモジュールを利用する。HPはこのサーバモジュール用にLinux OSとSDKを用意。アライアンスベンダは自社のアプリケーションをこのサーバモジュールに載せ、HPのスイッチを導入する顧客に販売できる。

 HPのサーバモジュールに自社アプリケーションを搭載したいベンダは、まずHPに申請する。HPは審査の結果、問題がない場合にSDKを提供。搭載アプリケーション間の相互接続検証もHPが実施する。各社の製品間の相互接続を保証できる点は、このプログラムの大きなメリットだとミトラ氏は強調する。相互接続保証は、スイッチのサーバモジュールにインストールしたアプリケーションだけでなく、ブレードサーバやラックマウントサーバにインストールしたものも対象となる。ユーザーには導入形態の選択肢を提供することができるという。

 HPはアライアンスベンダのアプリケーションを再販するわけではない。販売店やSI業者が、HPからスイッチやサーバモジュールを仕入れ、アプリケーションをアライアンスベンダから仕入れて顧客に売ることになる。サポートもHPと各アプリケーションベンダそれぞれが別個に実施するが、HPが問い合わせ窓口としての役割を果たすという。

 すなわち、HPは顧客がパートナーベンダのアプリケーションを買っても、それ自体から直接メリットを享受することはない。しかし、「スイッチがより多く販売できればいい」(ミトラ氏)という。

 ProCurve ONEに国内で当初参加するのはマイクロソフト、F5ネットワークス、アバイヤ、マカフィー、リバーベッドネットワークスの5社。マイクロソフトは「Network Policy Server」F5は「BIG-IP Local Traffic Manager」、アバイヤはユニファイド・コミュニケーション・ソリューション、マカフィーは「Secure Firewall」、リバーベッドは「Steelhead」を、2009年中にHPスイッチのサーバモジュールに搭載したものを提供開始する。

 HPは同時に、企業データセンター向けの1Gbps/10Gbpsイーサネットスイッチ「HP ProCurve 6600スイッチシリーズ」5製品を発表した。企業データセンターでは、これらをラック単位で設置して利用し、同じラックに搭載したブレードサーバやラックマウントサーバを、コアスイッチにつなげることができる。これら製品のFCoE(Fibre Channel over Ethernet)対応は2009年中に実施するという。

ProCurve 6600シリーズのデータセンター内での利用方法

 さらにHPは、管理ツール「HP ProCurve Data Center Connection Manager」を5月上旬に提供開始すると発表した。これはネットワーク機器の物理的な構成を管理するものではなく、データセンター内のすべての機器について仮想的な構成を管理する製品。同社のブレードサーバが備える「バーチャルコネクト」機能とも連係するという。

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