米シトリックスシステムズは2月23日、「Citrix XenServer」の完全無償化を発表した。ただし、Provisioning ServerやHAなどの高度な管理機能は別製品「Citrix Essentials」として切り離し、4月7日にリリースの予定という。
シトリックスはこれまで、最下位エディション、「XenServer Express Edition」のみを無償で提供していた。このエディションはスタンドアロン環境を前提としており、複数サーバ機にまたがる仮想マシンの管理はできない。従って、XenMotionやリソースプールの機能も備えていない。
今回の発表によると、3月末までに新たに無償で提供開始されるXenServerは、XenMotionや複数サーバのリソース共有、P2VおよびV2Vの変換ツールを備えるという。稼働する仮想マシンおよび物理サーバの数は無制限。集中管理も提供するという。
ただし、これまで「Provisioning Server」「Workflow Studio」などの形でXenServerに含まれていた機能は無償版からは外され、「Citrix Essentials for XenServer」として提供される。
ニュースリリースによると、Citrix Essentials for XenServerは、ラボ自動化、動的プロビジョニング、ワークフロー・オーケストレーション、HA(高可用性機能)、主要なストレージ製品との透過的な統合などの機能を提供する。
ラボ自動化ではアプリケーション開発から本番環境への投入に至るまで、アプリケーション開発のライフサイクル全般にわたる管理が可能。この機能は主要仮想化プラットフォームをすべてサポートする。動的プロビジョニングは仮想マシンの共通マスターイメージから、オンデマンドで仮想サーバや物理サーバへのワークロードの展開ができる。ワークフロー・オーケストレーションではグラフィカルな設計画面を通じ、定型的な管理作業を自動化することができる。高可用性機能は、基本的な再起動型のHAをはじめ、複数の選択肢を提供するという。
シトリックスはさらに、マイクロソフトのHyper-V環境に対してCitrix Essentials for XenServerに似た管理機能を提供する「Citrix Essentials for Hyper-V」も4月7日に提供開始する。
Citrix Essentials for Hyper-Vの機能説明にはHAは含まれていないが、ラボ自動化、動的プロビジョニング、主要なストレージ製品との透過的な統合機能は提供するという。提供形態としてはSystem Centerのプラグイン的な位置付けになるものと予想される。Citrix Essentials for XenServer、Citrix Essentials for Hyper-Vの併用により、Hyper-VとXenServerの混在環境の統合管理が実現できるという。
Citrix Essentials for XenServerの価格は物理サーバ1台当たり1500〜5000ドル、Citrix Essentials for Hyper-Vは物理サーバ1台当たり1500ドルになるという。
シトリックスはプレスリリースで、「仮想化がWindows Serverプラットフォームの標準コンポーネントとして組み込まれたことから、多くのマイクロソフト顧客はWindows中心の環境における主要な仮想化環境として、Hyper-Vへの移行を開始するだろう。また、エンタープライズ・クラスの、クラウドで実証済みのXenServerプラットフォームが本番環境において無償で無制限に利用できるようになったことで、WindowsとLinux混在の顧客や、シトリックスのアプリケーション・デリバリ・ソリューションに多くの投資を行っている顧客、あるいは社内クラウドを構築しようとする顧客は次第にXenServerを選ぶようになっていくだろう」としている。
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