ヴイエムウェアは2月24日、フランス・カンヌで開催中の「VMworld Europe」で、クライアント・ハイパーバイザへの取り組み、および仮想サーバ管理の新ツールを発表した。
ヴイエムウェアはインテルと共同で、「VMware Client Virtualization Platform」(CVP)という名称のクライアント・ハイパーバイザ(ユーザーPC上で利用する仮想化ソフトウェア)を開発中だという。ヴイエムウェアは複数のユーザーPC用仮想化製品を持っているが、これらはすべてPCのOS上で、アプリケーションとして動作するもの。これに対して、CVPはPCハードウェア上で直接動作する、いわゆるベアメタル・ハイパーバイザだ。
プレスリリースによると、CVPは「vProテクノロジを搭載したCore 2およびCentrino 2を活用するデスクトップ型あるいはノートブック型のクライアントPC上での動作に最適化されている」という。インテルとヴイエムウェアは、インテルCPU OEMベンダの一部機種への採用を目指し、共同でマーケティング活動を行う。
しかし、CVPの具体的な提供時期や提供形態は明らかになっていない。シトリックスも1月に、インテルと協業してvProテクノロジ搭載PCのためのクライアント・ハイパーバイザを開発中であると発表しており、両者の違いは明確ではない。
ヴイエムウェアは2008年9月、米国ラスベガスにおけるVMworldでクライアント・ハイパーバイザを活用したデスクトップ仮想化の構想を明らかにしている。これによると、クライアント・ハイパーバイザ上でデスクトップ接続プロトコル(のユーザー端末モジュール)を動かして、サーバ上で動作する仮想マシンをユーザー端末から利用。このユーザーが外出の場合には、自分のデスクトップ環境の実体である仮想マシンをユーザーに意識させずにユーザー端末側にダウンロードし、同一のデスクトップ環境を使い続けられるようにするという。
現在のヴイエムウェアのデスクトップ仮想化製品「VMWare View」には試験的に「オフライン・デスクトップ」機能が実装されている。しかし、まだ仮想マシンを「チェックアウト」するプロセスがユーザーに意識させないようなものになっていない。また、PC上で動かすハイパーバイザも従来のアプリケーション形式のものであり、ベアメタル・ハイパーバイザではない。
ヴイエムウェアはまた、VMware ESXの管理機能の1つとして「VMware vCenter Server Heartbeat」を3月に提供開始すると発表した。これはVMotionやライセンスの管理など、VMware Infrastructure 3において重要な機能を担っているvCenter Server(旧製品名VirtualCenter Server)のフェイルオーバを実現する製品。アクティブ―パッシブ型で、本稼働中のvCenterがダウンすると、別のサーバ機で自動的にvCenterを立ち上げることができる。vCenter Server HeartbeatはNeverfailという企業からライセンス供与を受けた製品だ。
同時に発表されたもう1つの管理製品は「VMware vShield Zones」。これはブルーレーン・テクノロジーズの買収により獲得したVirtualShieldの技術に基づく、アプリケーションレベルまでを含めた仮想マシン・ファイアウォールだ。複数の物理サーバにまたがる仮想マシンを、物理サーバの境界とは無関係にグループ分けし、別個のセキュリティ設定を適用することが可能。VMotionで仮想マシンが移動した場合でも、このセキュリティ設定を適用し続けられる。
社内で複数事業部門のためにサーバ仮想インフラを集中管理しながら、個別のセキュリティ・ニーズに応えることができる。また、仮想サーバサービス事業者も、各ユーザー企業のセキュリティ要件を細かく満たすことができる。同製品の提供時期は2009年中であることだけが明らかにされている。
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