EMCジャパンは3月31日、「ITインフラのTCOアセスメント・サービス」を開始すると発表した。4月1日から、中小規模から大規模まで、企業ユーザーを対象に無料で提供する。これまでEMC製品導入予定の企業に個別に行ってきたアセスメントサービスを無償のメニューとすることで、TCO削減につながる機器レンタルの潜在需要を掘り起こしたい考えだ。アセスメントは、現状のコスト試算と削減計画の立案を1週間程度で行うもので、EMCのレンタルプログラムを提案する。
「これまでは、いくらいくらの初期投資をしていただけると3年間でTCOがこれだけ安くなるという売り方をしていた。しかし、現在は投資という言葉だけで顧客は興味を失う」
3月31日に都内で開いた会見で、新サービス導入の狙いを説明した同社代表取締役社長の諸星俊男氏は、経済環境悪化で冷え込むIT投資マインドの実感をこう説明する。「キーワードは投資からコストダウンに移っている。来月からでもコストダウンできるサービスにしないといけない」(諸星氏)
現在、IT投資に関してユーザー企業はいくつか課題を抱えている。
1つは初期投資を捻出しづらいこと。2007年4月に減価償却制度が変更され、耐用年数5年のストレージでは償却率が0.369から0.5に変更。企業ユーザーは初年度から調達コストの50%を償却を求められ、ますます投資が難しい状況となっている。
資産としての購入ではなく、これまでにも初期投資を抑えて財務上のインパクトを小さくするため、リース方式が広く利用されたきた。ただ、2008年4月からの会計基準の変更で、リースであっても経費ではなく資産として財務諸表に計上するよう求められるケースが増えている。
購入価格に金利などを載せた金額を分割して計上する“ファイナンスリース”と呼ばれる一般的なリースがこれに相当する。これに対して、リース終了後の残存価値を事前に組み込んだ“オペレーティングリース”では、従来通り経費による処理が可能だ。
EMCではレンタル期間満了後の製品をアイルランドで一括して再生処理し、グローバルマーケットで再販している。日本国内の市場だけでは難しい二次市場の販路を確保できるグローバル企業としての強みだ。導入するユーザー企業にとっては「買うより安いリース」(EMC)というのもメリットだ。
このほか同社はITシステム置き換え期間中の費用発生移行後まで遅らせるプログラムや、“キャパシティオンデマンド”と呼ばれる、基本容量分だけのリース料を支払い、利用増に応じて増分を支払う「EMCオープンスケール」などのプログラムなどを提供している。予測が難しい数年後のストレージ容量に対して「使わない容量」への過剰投資を防ぎつつ、予想外のストレージ容量へのニーズ増加に対しても備えることで、ビジネスの機会損失を防げるメリットがあるとしている。
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