日本IBMは3月31日、インテルの新サーバCPU「Xeon 5500番台」を搭載したラックマウント/ブレードサーバ全4機種を発表した。新CPUのパフォーマンスと省電力性能を生かすための工夫をハードウェア設計に組み込み、管理機能も強化した。日本IBMでは新サーバ製品群を、仮想化によるサーバ統合に最適な製品として売り込む。
日本IBM 理事 システムx事業部長 諸富健二氏は、新サーバ群について「(IBMが実現を目指す)ダイナミック・インフラストラクチャを支えるべき製品。今回の発表の骨子は仮想化とシステム管理にある」と説明した。
新製品は、ブレードサーバの「IBM BladeCenter HS22」、ラックマウントサーバの「IBM System x3650 M2」「IBM System x3550 M2」、そしてクラウド/データセンター用システムのシステム・ボード「IBM System x iDataPlex dx360 M2」。すべてXeon 5500番台を搭載する2ソケットサーバだ。
BladeCenter HS22は、ブレードだがメモリスロットを12本搭載し、最大96GBの構成が可能(従来モデルのHS21は8スロットで最大64GB)。ハードディスクドライブは最大2基でHS21と変わらないが、位置を前面に移動。ホットスワップができるようになった。新ブレードはこれまでのブレードと同様、すべてのBladeCenterシャーシに装着できる。
2UラックサーバのSystem x 3650 M2と1UラックサーバのSystem x 3550 M2は共通のマザーボードを採用。メモリスロットを16本搭載し、最大128GBの構成が可能だ。どちらも電源装置の変換効率が、従来比12%アップの92%となった。
x3650 M2は風を誘導するガイドカバー(整流ダクト)を設けるなどにより、エアフロー設計を改善。また、空冷ファンは、枚数の違うファンを2つ組み合わせた。従来機は小型ファンユニットを10個使用していたが、今回は大型ファンユニット3個の構成にし、消費電力を最大63%削減した。2.5インチのSASハードディスクドライブあるいはSSDを最大12個搭載可能。ネットワーク・インターフェイスはギガビットイーサネット・ポート×2を標準搭載する。また、ネットワークアダプタ専用ドーターカードを使うことで、PCI Expressインターフェイスをつぶさずに、ポートを2個追加できる。
クラウドやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)用途に特化した大規模スケールアウトシステム「iDataPlex」用のシステム・ボードであるiDataPlex dx360 M2は、メモリスロットを16個搭載し、最大128GBの構成が可能。こちらはMini PCIeスロットでI/Oを拡張できる。
今回発表の製品は共通して、新たな管理機能を搭載する。
従来のBIOSに代わり、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)準拠のファームウェアを搭載。また、従来は別製品の管理アダプタによって行っていた遠隔管理機能を、管理モジュールとしてマザーボードに標準搭載した。システム管理ツールは、従来DOSで提供されていた数々のツールを、8つの64ビットツールに移行した。
さらに、物理環境と仮想環境を統合的に管理できるツールとして「IBM Systems Director 6.1」を提供。IBMのサーバ、ストレージを幅広く対象とすることができる。
日本IBMは4月1日、箱崎事業所内に「System x仮想化検証センター」を開設する。300台以上のサーバとストレージを用意。50名以上のエンジニアにより、仮想化ソリューションの設計などを行う。
また、同社はクラウド/HPC用サーバプラットフォームであるiDataPlexについて、これまでの直販に加え、3月に「iDataPlexビジネス・パートナー制度」を発足、さらにクラウド・コンピューティング専任営業部隊を設立し、拡販をすすめていることを明らかにした。
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