デルは4月1日、インテルの新CPU、Xeon 5500番台で同社のサーバ群を一新し、さらにストレージや管理製品、ワークステーションなど包括的な製品・サービスを同日に販売開始したことを発表した。
デル日本法人 代表取締役社長のジム・メリット(Jim Merritt)氏は、「IBMやHPはプロプライエタリで複雑。それを使ってサービスを売ろうとしている」とし、これに対してデルは「オープン」「シンプル」「効率」を導入、運用、管理のサイクル全体にわたって推進していると強調した。
デルは今回、ブレード、ラックマウント、タワーの全サーバ製品ジャンルでXeon 5500番台搭載製品を発表した。
新製品の特徴の1つは、仮想化に有利な拡張性を備える新CPUを生かし、すべての新製品で仮想化への対応を強化したことにある。例えばXeon 5500番台を使った2ソケットサーバでは、メインメモリスロットを最大18本搭載可能だが、2Uラックサーバの「Dell PowerEdge R710」およびフルハイトのサーバブレード「Dell PowerEdge M710」では、この上限の18本を搭載。8GBのメモリモジュールを使えば、計算上最大144GBを積めることになる。
マザーボード上にはSDカードスロットが設けられており、VMware、XenServer、Hyper-Vを収めてこれから起動することができる。全機種で仮想化ソフトウェアのOEM提供に対応する。
さらにこの2製品と1Uラックサーバの「Dell PowerEdge R610」では、オンボードでギガビットイーサネットを4ポート搭載し、特に仮想化で求められるネットワーク接続の強化を図っている。
管理性の観点からは、同社はサーバ製品のマザーボード共通化を進めており、従来も製品間でのサポートCDの共通化がなされていた。今回はさらに次世代BIOSのUEFI(United Extensible Firmware Interface)に準拠した管理機能を「Dellライフサイクル・コントローラ」として組み込んだ。これにはファームウェア、対応OS用のデバイスドライバ、ユーティリティなどが格納されているため、サポートCDなしにOSのインストールまでを行える。
従来オプションで提供していた遠隔管理コントローラ(Dell Remote Access Controller)も、マザーボード上に標準搭載した。さらに全製品で前面にLCDディスプレイを備えているが、ここからサーバ管理用のIPアドレスを設定できる。
デルは新製品用に、無償管理ツール「IT Assistant」の後継として「Dell Management Console」(DMC)を搭載した。これはシマンテックのAltiris製品ファミリの一部をOEMしたもので、デルのサーバ以外にも、他社サーバやストレージ、ネットワーク機器などを統合管理できる。また、DMCに付加機能を提供するプラグインを順次発売する。マシンイメージの作成・展開機能のほか、資産管理、バックアップ、仮想化管理、ヘルプデスクなどのプラグインが今後提供の予定。
省電力性については、まず空冷ファンの消費電力を60%削減、電源装置の変換効率は90%以上に向上させた。さらにリアルタイムの消費電力制御機能を提供している。
新サーバ製品の最小構成価格は、M610が23万6460円、M710が27万480円、R610とR710が34万8600円、タワー型サーバのT610が31万8150円。
同社は併せて、iSCSIストレージ「EqualLogic」の新製品「PS6000」シリーズを発表した。デルは、2008年第3、4四半期における国内iSCSI出荷数量でナンバーワンだったという。新製品はメモリを強化、シーケンシャル書き込みが最大91%高速化したという。また、初めてSSDを搭載して最大3倍のランダム読み出しを可能とし、OLTPなどの用途における性能を強化した。最小構成価格は361万950円。
コンサルティングでは、サーバ仮想化およびストレージ、バックアップの最適化により、パフォーマンス向上とハードウェアコストの削減を図る「Data Center Consulting」を提供開始した。
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