かつて新人だったエンジニアも、いずれは後輩を迎え入れる。初めての後輩指導に四苦八苦した経験は、彼女に何をもたらしたのか。連載「システム開発プロジェクトの現場から」で人気の筆者に、あらためて「先輩デビューの春」を振り返ってもらった。
こんにちは、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズの檜山です。
以前、先輩デビュー時の後輩との騒動について反省を交えつつ披露させていただきました。
いまは4月、ちょうど新入社員が入ってくる時期。ということで、3年目社員(=わたし)が新入社員を迎えたときのことを、前回よりも少し詳しくお話しさせていただきます。1つでも役立つことがあればうれしいです。
最初にわたしが後輩と接したのは、入社3年目に入り、後輩2人のSV(スーパーバイザー)に任命されたときです。
わたしの心に印象深く残っている彼らとの出来事について、時系列でご紹介いたします。
檜山 「よ、よろしくね」
後輩A 「うん」
あれ? いま、「うん」って聞こえたような……。気のせいか……。
仕事を終え、帰宅準備を始めるわたし。他チームの後輩に話し掛けられる。
後輩B 「あ、ヒヤマのチームって暇なの?」
あ、やっぱり……。気のせいじゃない。タメ口だ。
仲の良い先輩の元へダッシュ。
檜山 「先輩! ジェネレーションXの襲来ですよ! 挙動がおかしいです! 生意気です!」
先輩 「お前も挙動おかしかったし、生意気だったよ」
檜山 「……そ、そっか」
しかし、そこはやはり先輩として一言いわずにはいられない。ジェネレーションXに「ケイゴ ツカッテクダサイ」と伝え、会社を後にする。新人に多少の粗相はツキモノです。
出社定刻過ぎ。
あれ、後輩A、まだ出社してないなぁ。遅刻かな? ぼんやり席を眺めていると、わたしの携帯電話がプルプル。
「すいません、電車が遅れてるんで遅刻します。By 後輩A」
なんと! 遅刻連絡が携帯メール!(そもそも、いつの間にわたしの携帯アドレスを……)
あれ? 彼は大学のサークル仲間だっけ? 友達だっけ? それとも、そう感じるわたしの感覚が時代遅れ?
そう戸惑っていると、後輩が遅刻で到着。一応、「なんで携帯メールなの?」と聞いてみるも、
「遅れそうだったんで」
と、返事になっていないような返事。
わたし自身、なんで携帯メールで遅刻連絡が駄目なのかと考えてみると、「携帯電話は会社で支給されたツールじゃないから仕事ではNG? あれ? なんでだっけ?」といった感じで、きちんと回答できない。
でも、感覚的に駄目だと思ったので、「以後、携帯メールで遅刻連絡するの禁止ね、電話でかけてきて」と彼に一言。
新人にツキモノの粗相。どこまでがただの粗相で、どこからが世代の違い?
後輩A 「檜山さん、今日のタスクです」
檜山 「はい。……ん? なんで作業手順こっちが先なの? こっち先に出せば、その結果待ちの時間でこれできるでしょ?」
後輩A 「まあ、そうですが」
檜山 「(心の声)まあそうですが、って? 分かっていてなぜそうしない……。わたしには見えるよ、こっちを先にやった方が絶対効率いいって!」
読めない。心が読めない。
後輩A的最適解≠檜山的最適解。すれ違い状態の日々。
こうした日々を経て、以前の記事でご紹介した新人との衝突が起きてしまったのです(以下、『新人(3年目)、先輩デビューで「最悪の振る舞い」』より引用)。
とある穏やかな昼下がり。
檜山 「明日移管だねー、X案件のテスト、問題なかった?」
後輩A 「はい」
檜山 「じゃあ、クロスチェック、後でしておくね」
後輩A 「お願いします」
当時、システム修正に当たっては、修正後にまず担当者がテスト、その後担当者のSVがもう一度テストという二重チェック体制をとっていました。
X案件もこの対象でしたが、後輩も問題がなかったといっているし、先に優先度の高い案件の対応をしてから、X案件をチェックしようと、ひとまず別作業に取り掛かりました。
大荒れの予感がする夕暮れ。
檜山 「さてX案件、チェックしますか。って、ねぇ、ファーストステップからエラー出ているよ」
後輩A 「え? そんなわけないですってー」(若干スマイル顔)
――しばし平行線状態のやりとり――
檜山 「なんで?! じゃあ、なんでいまできてないの? 全然分からない! いってたことと違うでしょ?」
後輩A 「あ……、でも、本当にあのときは、問題なかっ……」(完全引きつり顔)
檜山 「いい訳はいらない!」
大荒れです。自分で思っている以上に声を荒らげてしまったようで、上司がパソコン越しにわたしをのぞき見ています。後輩は顔を真っ赤にして下を向いたまま。同期がすぐに寄ってきて、「檜山、コーヒー買いに行こうよ」とわたしを外に連れ出してくれました。
その後プログラムの再修正が必要と判明し、わたしの上司、わたし、後輩2人で夜を徹して作業を行ったのですが、この間もわたしはカッカしたまま、後輩は無言のままでした。
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