以下の、Windows Server 2008 R2を256コアの物理マシン上で実行した際のタスクマネージャの画面である。
さすがにWindows NTのイメージを引きずっている人は少なくなったが、「Windows OS=小規模システム」というイメージを持っている人はまだ少なくないようだ。しかしWindows Server OSはすでにエンタープライズ領域でも活発に利用されており、バージョンアップのたびに安定性や信頼性を進化させてきた。256コアのプロセッサを搭載した1台の物理マシンが、1つのWindowsマシンとして動作していることを示す上の画面は、ある意味それを象徴するものだ。もはやWindows OSは、小規模環境だけでなく、大規模なエンタープライズ環境のニーズに十分応えることができる信頼性と安定性を備えており、実績も着実に積み上げてきているということをあらためて強調したい。
256コアのスクリーンショットを見て、サーバOSも重くなったのだろうと感じた読者がいるかもしれない。そこで次はフットプリント(インストールした状態のメモリ使用量)を紹介したい。以下は歴代サーバOSのフットプリントを比較したグラフである。
「Windows OSは、バージョンアップするたびに重くなる」という話を聞く。後継バージョンは、前バージョンよりも高機能になるので、一見すると正しいように思えてしまう。しかしマイクロソフトは、モジュラー・アーキテクチャを採用することで、OSと各機能の分離を進めてきた。OSをインストールしただけの状態では軽く、必要な機能を追加することによって徐々に大きな(高機能な)サーバになっていくという仕組みだ。結果として、必要な機能を絞り込んでインストールできるようにすることで、実際のフットプリントは小さく、むしろ軽量になっているといえる。
さて、このグラフにはもう1つ重要なポイントがある。Windows Server 2008では、Server Coreというグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)を持たないインストール形態もサポートされた。複数台のサーバを利用するサーバ・ルームやデータセンターでは、ほとんどのサーバがリモートから管理されており、GUIベースの管理ツールを個々のマシンで利用する場面は少ない。そのため、GUIを持たず、機能も限定することで軽いOSとして利用できる環境を整えたわけだ。しかし、前述したモジュール化の勢いはさらに早い。Windows Server 2008のServer Coreよりも、Windows Server 2008 R2のフルインストール(通常のインストール)の方が、フットプリントは小さくなっているのだ。OSとはアプリケーションを効率的に動かすための道具であると考えると、Windows Server 2008 R2はニーズの高い領域に向かって進化を遂げているといえるだろう。
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