次は、昨今注目の高い消費電力についてのグラフだ。
グラフは、Windows Server 2003 SP2とWindows Server 2008 R2の上でOLTP(オンライン・トランザクション処理)を実行し、ワークロード(負荷)を徐々に高めていったときの消費電力の比較である。見て分かるとおり、Windows Server 2003 SP2は、負荷が増え始めた段階で消費電力のグラフも一気に高くなる傾向にあった。しかし、Windows Server 2008 R2は消費電力を極力抑えることを前提に設計されているため、負荷率の向上とともに徐々に消費電力が増える。これにより、おおよそ20%程度の省電力化が見込まれる。多数のサーバを抱えるデータセンターや企業のサーバ・ルームでは、総コストに占める電気代の割合が非常に高いと聞く。このような環境では、低消費電力化が進んだWindows Server 2008 R2から多くの恩恵を得られるだろう。
グラフのような低消費電力化を実現するために、Windows Server 2008 R2ではコアパーキングという機能が搭載された。
この図は4つのコアを持つサーバで、コアごとの負荷をメータとして表したもの。左側は4つのコアをフルに利用しているところであり、マルチコアを活用できているパターンである。そして、負荷が徐々に減ってきたとき、Windows Server 2008 R2は処理を1つのコアにまとめる。これによって残り3つのコアには電力を供給する必要がなくなり、電力消費を低減できるようにしている。
Windows Server 2008 R2には、ほかにもプロセッサの消費電力を調整する機能がある。
ひと言でプロセッサを動かすといっても、いろいろな動かし方がある。プロセッサ・パワーを最大限活用したい場面もあれば、動かす必要はあっても高速に処理をする必要がない場面もあるはずだ。この機能を利用すれば、プロセッサのACPI Pステートを調整でき、不要な負荷をプロセッサに要求しないように調整できる。
昨今「グリーンIT」という言葉がいろいろなところで使われるようになった。地球温暖化対策は重要ではあれ、単純にコンピュータを減らすわけにはいかない。現実的には、必要なときに必要な分の電力を効率的に利用する仕組みを作る必要がある。Windows Server 2008 R2は、仮想化などの主要機能に力を入れるだけではなく、こうしたグリーンITにつながる機能も強化されている。
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