本稿では.NETの開発環境として「Visual Studio」、Javaの開発環境としてデファクトスタンダードである「Eclipse」を取り上げます。
どちらのIDEも開発に必要な以下のような基本機能は網羅しています。
Eclipseは無償でありながら、製品版IDEと同等以上の機能があるといえます。Eclipseの特徴的な機能として、プラグイン・アーキテクチャがあります。EclipseはJava開発環境のイメージがありますが、実際にはC/C++プラグインや、PHPプラグインなどを導入することで、各種言語の開発環境にもなり得ます。
開発言語だけでなくXML エディタ、データベースメンテナンス用、エンタープライズ・アプリケーションの開発用のプラグインなども存在するため、それらを導入することで多彩な開発作業環境を構築できます。また、欲しいプラグインがなければ、Java言語で自作できます。
一方、Visual Studioの大きな特徴してはマイクロソフトで手掛ける分野のアプリケーション開発のすべてを賄えます。Windowsアプリケーション、Webアプリケーション、モバイルデバイス開発、Officeアプリケーションのそれぞれの分野に向けたアプリケーション開発がVisual Studioという1つのキーワードの下で統合されました。
そして、統合にはもう1つ意味があります。それはエンタープライズ規模のアプリケーション開発からパーソナルユースの開発までをVisual Studioがすべてカバーするということです。
Visual Studioには、いくつかのエディションが用意されており、エディションごとに使用可能な機能が異なります。無償版も用意されており、Windowsアプリケーション開発用の「Visual Basic Express Edition」「Visual C# Express Edition」「Visual C++ Express Edition」と、Webアプリケーション開発用の「Visual Web Developer Express Edition」があります。
Visual Studioでは追加インストールなしで、WPFアプリケーションやSilverlightアプリケーションを作成できますが、さらに本格的なデザインを行うための開発環境として「Expression Blend」というものが用意されています。Expression BlendはXAMLをオーサリングするデザイナ向けのツールです。
Expression Blendの特徴はデザイナがVisual Studioのプロジェクトをプログラマと共有し、その中のXAMLファイルを編集できます。これによりロジックとUI部分を独立して開発できます。
どちらのIDEも進化し続けています。さまざまなデバイスのサポート、リファクタリングやテストのIDEレベルのサポートなどさらに使いやすく、品質の高いアプリケーションの開発が期待できます。
Javaはあらゆる分野に精通しています。大規模企業システムや携帯電話などのモバイルはもとより、小規模システム、デスクトップ、オープンソース・コミュニティ支援、そしてコンシューマ市場や組み込み製品市場向けまでカバーしており、多くの実績があります。
一方、プラットフォームとしては後発である.NETですが、こちらも非常にシェアを広げています。小規模なSOHOレベルから、大規模なエンタープライズ環境に至るまで、さまざまなビジネスの要求に応えられる、システム構築のための要素が網羅されています。その理由としては.NET Frameworkによるテクノロジの一貫性、統合性が考えられます。さらに、高度なサービスやフレームワークが提供されていることで、アプリケーションの品質を高い水準で維持できるということも大きい要因でしょう。
当分は、この2つのプラットフォームが市場をけん引することは変わらないでしょう。
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