伝えることを考え抜く「nanapi」のUIデザインコレスジ!(1/2 ページ)

Webサイトやプロダクトのデザインの中で「よいデザイン」とされるものは、そのデザインへといたるまでに、はっきりとした“スジ”が存在します。その“スジ”を探っていきます。

» 2011年06月29日 00時00分 公開

いいデザインにはスジがある

 “デザイン”と一口にいうと、多くの人は単純に表面的なものとしてとらえがちですが、実はデザインとはただ見た目を作る作業ではありません。

 世の中に山のようにあるWebサイトやプロダクトのデザインの中で、「よいデザイン」とされるものは、そのデザインへと至るまでに、はっきりとした“スジ”が存在します。「よいデザイン」=「スジのあるデザイン」とも言い換えられるでしょう。

 今回から始まるこの連載では、そうした「スジのあるデザイン」がどのようにして生まれてくるのかを、生みの親に根掘り葉掘り聞いて迫ってみちゃおうじゃないか! という趣旨で、さまざまなWebサービスやプロダクトを、デザイン目線でつづっていきます。

ライフレシピ共有サイト「nanapi」

 連載1回目は、この「@IT」をご覧になる方であればまず知らないはずがないであろう、ライフレシピ共有サイト「nanapi」についてつづっていきたいと思います。

このところ業界大注目のnanapi このところ業界大注目のnanapi

 「nanapi」は2009年9月にサービスインした、恋愛や仕事、人間関係、マナーなど、生活をもっと便利にする“ライフレシピ”を共有するWebサービスです。

 現在、実に2万を超える膨大な量のライフレシピが掲載されており、Facebookページも2万1000人を超える人から「いいね!」をされている(2011/06/15現在)超人気Webサービスでもあります。

伝えるためのデザイン

 冒頭でも書いていますが、この連載では「生みの親に根掘り葉掘り聞いて迫っちゃおう」という趣旨なので、「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート代表取締役の古川健介氏(@kensuu)に「nanapi」のデザインについて伺ってきました。

取材日の前日が30才の誕生日。ジャケットの色が映えてます 取材日の前日が30才の誕生日。ジャケットの色が映えてます

 古川氏は、「デザインとは利用者に対して何を見せるのかを実現する手段であり目的のための手助けであるもの」だと特定しています。

 その言葉通り、nanapiは随所にわたって、おそらくは読者も気付いていないのでは? と思わせる細かいところまで、読者に対して“伝えるためのデザイン”が施されており、筆者も驚かされました。

いかに要素を削るか

「nanapiのデザインはいかに要素を削るか、を考えています」(古川氏)

 nanapiは“ライフレシピ”という情報を読んでもらうことが前提のサービスです。そのため、最も目を引くべきものはテキストそのものになります。

 つまり、このテキストに対して目を行かせるためには、目立ち過ぎるバナーなどの要素が多くある必要はないということに他なりません。デザイン的には要素を積み重ねて作る“足し算的手法”ではなく、積み重なった要素を削っていく“引き算的手法”だといえます。

アイデアだけでは価値がない

 デザインに限らないことですが、古川氏は、「アイデアには価値がありません。アイデアはどうやってそれを形にするかが大事であって、形にできたときに初めて価値が生まれると思います」といいます。

 企画やシステム、デザインといったそれぞれで、アイデアは誰もがふと思いつくものです。しかし、アイデアというものはいってみれば“種”のようなものです。種だけあっても花が咲かないように、水をやって育てるというブラッシュアップや制作といった過程を経て、初めてアイデアは具現化されます。

 極端な話、形にできなければアイデアには意味がなく、形にするための手段や運用していくノウハウを持っているかことにこそ意味があるという考え方です。

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