ルーティングプロトコルを相互変換する「再配送」とはCCNP対策講座 ROUTE編(5)(2/2 ページ)

» 2012年05月17日 00時00分 公開
[齋藤理恵グローバル ナレッジ ネットワーク]
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再配送の設定

 再配送の設定は、redistributeコマンドを使用します。再配送先のルーティングコンフィグレーションモードの中で設定が必要です。

(config)#router  <プロトコルA>
(config-router)#redistribute  <プロトコルB>  <オプション>
<再配送基本コマンド>

 プロトコルBをプロトコルAに再配送できます。オプションはルーティングプロトコルによって異なります。

●RIPへの再配送

(config)#router  rip
(config-router)#redistribute  ospf 1 metric 5

 OSPFからRIPにメトリック5のルートを再配送している例です。RIPのデフォルトのシードメトリックは無限大ですので、明示的にシードメトリックの設定が必要です。RIPは内部ルートと外部ルートの区別がないため、再配送されたルートもルーティングテーブルのコードには「R」と表記されます。

●OSPFへの再配送

(config)#router  ospf 1
(config-router)#redistribute rip subnets

 RIPからOSPFに再配送している例です。OSPFに再配送する場合、subnetsオプションが事実上必須です。subnetsオプションを付けない場合は、サブネット化されていないネットワークアドレスのみが再配送されます。現在のネットワークはサブネット化されているのが一般的なので、サブネット化されているネットワークアドレスも再配送する場合は、subnetsオプションの設定が必要です。

 シードメトリックを指定しない場合はデフォルトの20の値が利用されます。外部ルートタイプは指定しない場合はOE2ルート(メトリックが固定)として再配送されます。

図2 RIP、OSPFへの再配送 図2 RIP、OSPFへの再配送

●EIGRPへの再配送

(config)#router  eigrp 1
(config-router)#redistribute ospf 1 metric 1500 200 255 1 1500

 OSPFからEIGRPにメトリックを指定してルートを再配送している例です。EIGRPへのデフォルトのシードメトリックは無限大なので、明示的にシードメトリックの設定が必要です。EIGRPはデフォルトでメトリックに帯域幅と遅延のみを使用しますが、メトリックの指定は、複合メトリックの5つの要素をすべて指定する必要があります。

metric <帯域幅> <遅延> <信頼性> <負荷> <MTU>
  • 帯域幅:kbps単位
  • 遅延:10マイクロ秒単位
  • 信頼性:255で100%の信頼性
  • 負荷:1が最少負荷
  • MTU:MTUサイズ

 EIGRPは内部ルートと外部ルートの区別をするため、再配送されたルートのルーティングテーブルのコードには「DEX」と表記されます。なお、アドミニストレーティブディスタンス値は内部ルートが90に対して外部ルートは170です。

図3 EIGRPへの再配送 図3 EIGRPへの再配送

 再配送設定後は、主に次の項目に注意して確認します。

  • 再配送を行っている境界ルータ

 ルーティング、シードメトリックの設定が正しいかどうかを確認します。これは、show ip protocolsコマンドなどで確認できます。

 必要なルートをフィルタリングしている場合には、設定が適切かどうかを確認します。これは、show access-list、show route-mapコマンドなどで確認できます。

  • 再配送先の内部ルータ

 再配送されたルートを適切に受信できているかどうかを確認します。これは、show ip routeコマンドで確認できます。

確認問題3

  • 問題

 OSPFへ再配送するときに事実上必須なオプションを1つ選びなさい。

a.subnetsオプション
b.metricオプション
c.外部ルートオプション
d.オプションは特に必要ない

  • 正解

 a

  • 解説

 正解は、aです。OSPFでは、subnetsオプションを付けない場合は、サブネット化されていないネットワークアドレスのみが再配送されます。現在のネットワークはサブネット化されているのが一般的なので、サブネット化されているネットワークアドレスも再配送する場合にはsubnetsオプションの設定が必要です。

 シードメトリックは指定しない場合はデフォルトの20の値が利用されます。外部ルートタイプは指定しない場合は、OE2ルート(メトリックが固定)として再配送されます。

筆者紹介

グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部

齋藤理恵(さいとうりえ)

Cisco認定トレーナー。トレーナー歴は11年。マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズなどIT業界でトレーナーとして活動。現在は、グローバル ナレッジ ネットワークで、Cisco認定トレーニングコース(CCNA、CCNP)、ネットワーク系オリジナルコースを中心に講師を担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら



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