7月6日、PostgreSQL エンタープライズ・コンソーシアムが発足記念セミナーを開催しました。組織の活動内容など概要を日本電気株式会社 白石雅巳氏(写真)が紹介しました。
同コンソーシアムは2012年4月に発足したばかりの組織です。当初は10社の発起人からスタートし、セミナー直前には24社に広がりました。セミナーを聞いて参加を申し込む会社もあり、今後増えていきそうです。
PostgreSQL エンタープライズ・コンソーシアムは名前が示す通り、エンタープライズ分野におけるPostgreSQLの普及推進を目的に掲げています。そのために、PostgreSQLや関連ツールに関する情報収集と提供を、企業ベースで展開していく予定です。
運営で特徴的なのは、入会費や年会費などの会費が一切不要な点です。一般的にこうした組織運営で、会費を無料とするところはなかなかありません。PostgreSQL エンタープライズ・コンソーシアムでは、会議や活動の場所は持ち回りで提供するなど、基本的に手弁当で活動を進めていく方針です。「お金は要らないから、リソースや人間を出しあって一緒にやろう」という趣旨なのです。また、会員は正会員と一般会員に分かれており、大きな違いは総会の議決権の有無など、運営に深く関わるかどうかです。
実質的な活動の中心となるのが技術部会です。5月から活動テーマの候補が検討され、46項目が挙げられました。その中でも、初年度は性能と運用設計に関するテーマが挙げられました。
性能ワーキンググループでは大規模基幹業務を想定し、マルチコア性能の検証を行います。近く出ると言われている次期「PostgreSQL 9.2」ではマルチコア性能が上がっているとの評判なので、実際にどのくらい性能が上がっているのかとても興味深いです。
もう1つ、設計運用ワーキンググループでは、PostgreSQL経験の少ない技術者向けに情報やノウハウを整備することになるようです。具体的には、ほかのRDBMSとの比較や注意事項、導入時に必要な検討項目や手順作成などになりそうです。こちらもニーズが多そうなテーマで期待できます。
本年度の活動は2013年3月までをめどに行い、その前の11月に中間発表セミナーを開催する予定です。なお、活動成果は原則的にはCC(Creavive Commons)で公開します。
セミナー当日はPostgreSQL導入事例が2つ紹介されました。住友電気工業株式会社のPostgreSQL全社展開の事例と、HPとヤマハモーターソリューションがヤマハ発動機グループの業務基盤を全面オープンソース化した事例です。
共通のキーワードとなったのが「標準化」です。これはオープンソースに限った話ではありませんが、標準化を行うことで社内システムの複雑化を避け、安定化やリスク回避などにつながります。今後はこうした企業におけるPostgreSQL導入や運用に関する実体験が、同コンソーシアムで共有されていくことになりそうです。
ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!
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