ルノーがコネクテッドEV向け通信サービス基盤にHPのプライベートクラウドを採用した。従量課金制のプライベートクラウドサービスを利用して運用コスト削減とセキュリティ担保を図るという
フランスの自動車メーカー、ルノーは自社のコネクテッドEV(電気自動車)における情報通信サービスにおいて、HPのプライベートクラウドサービスを採用する。米・HPが2012年10月8日に発表した。
コネクテッドEVとは、ITインフラサービスと接続できる車載通信機器を搭載したEVを指す。位置情報や空調、燃費情報、リアルタイム交通情報などを各種ITサービス基盤と双方向で通信する。
仏ルノーでは2012年5月にEV「ZOE」を発表しており、2012年末にも出荷を予定している。日本HPでは、今回のプライベートクラウド採用がZOE向けのサービスに展開されるか否かについては、明言していないが、コネクテッドEV向け通信サービスを利用すれば、車両の位置情報やバッテリーの充電率などの情報を送信し、近郊の充電ステーション情報やリアルタイム交通情報などを受信するといった双方向通信が可能になる。
実際の運用フェーズでは、同時に大量の車両の情報を受信し、遅延なく応答する処理能力が必要となる。また、現在の交通情報を基にした最適経路の選択では個々の車両向けの計算が必要となる。こうしたサービスを実現するために分散処理に適したシステムアーキテクチャを採用することになる。また、将来的にこれらの情報を活用した車両ごとの運行情報の蓄積やそれにひも付く保険適用内容の算出などのサービス提供なども検討できることから、相応の情報蓄積能力も必要となる。
ルノーでは、欧州でこのサービスを展開する際に、事前設定と試験を済ませたHP Converged Infrastructure(コンバージド・インフラストラクチャ)を採用することを決定した。システムは、仏・グルノーブルに拠点を置くHPティア3データセンターでホスティングされるという。
なお、HP全体としては以前より本格的なクラウドサービスを展開しているが、日本HPでは、2012年4月に日本国内のデータセンターでサービスを開始すると発表している。
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