日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は10月11日、3月末に同社が発表した「HP Insight Online」が同日、世界的に本格提供開始となったことを発表した。また、同社サーバのラックにおける位置を自動検出し、運用管理に役立てる新製品「HP ロケーションディスカバリキット」を発表した。あわせて、サーバ製品群「HP ProLiant Generation 8」で4モデルを発表した。
HPは、同社サーバの付加価値を、運用負荷の軽減という形で高める取り組みを進めている。Insight Onlineは、この取り組みにおける重要な役割を果たす「管理クラウドサービス」だ。その内容については、3月末の発表時に詳細にレポートしているので、そちらをご覧いただきたい。要約すると、サーバ機が資産情報や保証関連情報、稼働情報をHPのInsight Onlineサービスに逐次送信し、この情報を組織の管理者がWebブラウザで確認できるというもの。故障時には、詳細な情報に基づいて、HPおよび販売パートナーによる迅速で的確な対応が可能になるとされている。
Insight Onlineサービスは今年第2四半期中に提供開始予定だったが、多少ずれ込む結果になった。また、サービス開始時から実現するはずだった、組織内に設置する管理サーバを介さない、サーバ機からの直接の情報送信機能は、提供開始が今年12月に延期された。一方で、最新サーバG8以外のIntegrityを含む既存サーバ、HPのネットワーク製品群、HPのストレージ製品「HP P6000/P4000/P2000」、HPのUPS/テープライブラリといった製品にも、Insight Onlineのサービス対象が拡大した。ただし、最新サーバ以外のこれらの製品について、どういった情報が取得できるのかははっきりしていない。
Insight Onlineでは、HPに送信される情報を販売パートナーが共有し、新たなタイプのサポートサービスを提供できる点も、注目ポイントの1つだ。日本HPによると、国内では数社がInsight Onlineを活用した新世代サービスを準備中という。
HPが今回、新たに発表した興味深い運用支援製品は、HP ロケーションディスカバリキット。実体は、同社製のラック側面に取り付ける棒状のセンサモジュールだ。このセンサと、G8のラックマウントサーバ側面にデフォルトで内蔵されているセンサとが交信し、サーバ機が、自分はラックのどの位置の何Uのスペースを占有しているのかを自動検知する。各サーバ機はこの情報を、その他の資産情報や稼働情報などとともに管理ソフトウェア「HP Insight Control」に送信できる。このため、HP Insight Control上では、ラック図と各サーバの正確な位置が自動的に表示される。
HPは、関連する2つの機能をすでに実現している。1つは電源情報検出機能で、ラックに取り付けたPDUの各コンセントが、どのサーバ機につながっているかを自動的に検出、この情報をInsight Controlに送信する。これにより電源接続を正確に把握できるほか、電力消費状況の詳細な監視ができる。もう1つは温度情報検出機能。これはG8サーバが標準で備えている機能で、吸気温度および本体内温度を多数の温度センサにより取得できる。これらの情報を統合することで、サーバ機単体およびラック単位の電力・温度管理ができる。
上記のラック内サーバ位置自動検出や、PDUとサーバ機のひも付けについては、ラックベンダなどで似たコンセプトの製品が登場しつつある。しかし当然ながら、HPはシリアルナンバーを含めたサーバ機の識別が自動ででき、さらに同社の運用管理ツールInsight Controlで稼働情報などとともに一元管理できることの優位性を訴える。一方で、HPのサーバ機やラックでそろえないと、これらの機能が活用できないことも事実だ。
日本HPが、同時に発表したProLiant 8Gの1ソケットおよび4ソケットのサーバモデルについては、下の表をご覧いただきたい。
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