IIJとACCESSの合弁会社ストラトスフィアは、ネットワーク仮想化製品「Stratosphere SDN Platform」のバージョン1.0を、10月31日に提供開始する。6月には同社が概要を説明していた製品だが、バージョン1.0では具体的に何が実現されたのか。これを紹介する。
IIJとACCESSの合弁会社ストラトスフィアは、同社が6月初めに概要を発表したネットワーク仮想化製品「Stratosphere SDN Platform 1.0」を10月31日に提供開始する。ここでは、同社が10月9日に発表したニュースリリースと追加情報を通じ、SDN Platform 1.0では何が実現されたのかを紹介する。
Stratosphere SDN Platformの概要については6月の記事で紹介したとおり。SDNコントローラを中心とした複数のコンポーネントで構成されるネットワーク仮想化製品だ。「エッジ・オーバーレイ」(つまりトンネリング)によって、複数のレイヤ3セグメントにまたがってレイヤ2ドメインを構築できる。クラウド運用基盤と連動し、ある仮想マシンをどの仮想レイヤ2ドメインに参加するかを指定すれば、仮想マシンを適切な仮想レイヤ2ドメインに参加させられる。個々の仮想マシンは、それぞれの仮想レイヤ2ネットワークに参加したまま、別のレイヤ3セグメントにライブマイグレーションなどで移動できる。
Stratosphere SDN Platform 1.0では、仮想化基盤としてKVMとVMware ESXiをサポートする。これらの仮想スイッチにおいて、仮想マシン単位のトンネリング生成ができる。1.0で、トンネリングプロトコルとしてサポートするのはVXLANとSTTの2つ。ストラトスフィアによると、同社はOpen vSwitchプロジェクトとは連動しない形で、独自にトンネル生成機能の実装を行ったという。ARPリクエストの抑制機能も搭載している。
ストラトスフィアは、クラウド運用基盤として、CloudStackおよびOpenStackに対応すると発表していたが、1.0ではCloudStackのみと連動する。CloudStackへの対応を優先させた理由の1つとしては、コードの安定性があるという。
Stratosphere SDN Platform 1.0では、既存のVLANによるネットワーク分割と、エッジ・オーバーレイによるネットワーク仮想化との間の混在や移行もできるという。ニュースリリースでは「VLANで運用されている既存L2ネットワークの円滑な移行が可能」と表現されている。詳細は不明だが、これは独自に実装した機能だという。
なお、Stratosphere SDN Platform 1.0では、SDNコントローラにOpenFlow 1.0を実装し、これを使って仮想スイッチにおけるトンネルの構成を行っている。従ってStratosphere SDN Platform 1.0は基本的にOpenFlowコントローラとしての機能を持つ。ストラトスフィアとブロケードは、Stratosphere SDN Platform 1.0とOpenFlow対応スイッチ「NetIron CER2000」の間で、OpenFlowのフローステアリングが制御できることを検証したという。
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