さくらインターネットが3月から停止していた「さくらのクラウド」の新規申し込みを再開。ストレージとしてSSDが利用できる新プランも加わった
さくらインターネットは2012年11月1日、3月から停止していた「さくらのクラウド」の新規申し込みを再開した。同時に、これまで提供していたHDDのプランに加えて、ストレージとしてSSDが利用できる新プランを発表し、同日提供を開始した。
SSDの容量は100GBで月額3675円(日割で184円)。これは提供中のHDDのプランに比べて容量単価で1.75倍の価格という。100GB以外の容量は選択できないが、複数のSSDプランを契約することで、ストライピング構成で200GB、300GBなどのより大容量のSSDとして利用できる。SSDに保存したデータはOSを再起動しても消えない。
SSD提供の背景と、HDDとの棲み分けについて、同社取締役社長の田中邦裕氏は次のように見通しを説明する。
「SSDは3万から4万IOPS程度の性能が出るのでHDDの100倍から1000倍は速い。価格や信頼性の問題も近いうちに解消されていくので、まだポテンシャルはある。将来的には比較的小さい容量で済むケースはSSDに置き換えられていくだろう。一方、大規模な容量が必要なところではSSDは不利。HDDなら4TBの1台で済むところ、10台の400GBのSSDを使うとなると、SSDのほうはより多くの電力が必要になるからだ」
「IO性能のボトルネックを解消してスケールさせるためにKVSやNoSQLを使うというのはもちろんある。こうしたアプローチに比べてSSDが良いのは、今あるもののをそのまま移行できる点だ。DBを複数に分けて設定する必要もないし、レプリケーション先として指定すればHDDからの移行も数秒でできるだろう。クラウドのSSDは1万IOPS程度と、専用サーバで使うSSDの7万IOPSや、ioDriveの13万IOPSにはかなわないが、それでもHDDに比べて圧倒的に速い。これまでの弊社の顧客の実績では、10台、20台だったサーバ数が1台になったという例もある」
さくらのクラウドは、2011年の暮れからストレージの障害やパフォーマンス低下が断続的に発生し、2012年3月には「課金をさせて頂ける状況ではないと判断」して課金を停止した。当初導入したメーカー製のストレージシステムの改善に努めたものの解決のめどが立たず、2012年2月から自社製ストレージの検討を開始。その後、他社製品を採用することで6月には新ストレージの提供を開始し、テストを継続してきたという。「運用では軽微なトラブルが結構出るもの。そうしたトラブルに対処し、乗り越えてきた。現在は良好なテスト結果が出ていて10月から課金を再スタートした」。
今後はクラウド上でSaaSを提供する事業者などを取り込んでいきたいという。ストレージ安定化、サービスの正常化を優先してペンディングしていた「パケットフィルタリング」や「ロードバランサ」などの機能拡充を今後半年程度で開発し、提供していければとしている。
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