OpenFlowを使ったネットワーク仮想化を盛り込んだクラウドサービスを展開するNTTコミュニケーションズ。これら技術を最大限に生かすべくDCの拡大、通信インフラの拡充を進めている
NTTコミュニケーションズは2012年10月25日、自社ソリューションを一堂に会したイベント「NTT Communications Forum 2012」を開催、基調講演で登壇したNTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 有馬彰氏は、同社が掲げる「グローバルクラウドビジョン2015」の進ちょくを発表した。
グローバルクラウドビジョン2015とは、オンデマンド性、コスト競争力の高いソリューションをトータルで提供するというもの。企業ユーザーのグローバル化が本格化する中、クラウドネットワークそのものをシームレスにし、データセンター自体も仮想ネットワーク技術を駆使してシームレスに利用できる世界を目指す。加えて、それらのクラウドシステムをセキュアに提供するというものだ。同社では、2015年までにこのビジョンを実現するための技術開発やサービス提供を段階的に進めている。必要となる要素と具体的な施策をまとめると次のようになる。
インフラストラクチャ グローバルでのデータセンターの拡充、高信頼・低遅延の大容量海底ケーブルの拡充
ネットワーク OpenFlowなどの技術を活用したシームレスなネットワークサービスの展開
クラウド 仮想ネットワーク機能を持つプライベートクラウドの展開
カスタマポータル サービスの見える化、オンデマンド申し込みや設定変更の実現
クラウドマイグレーション オンプレミスシステムのクラウド移行を支援するコンサルティングや移行メニューの拡充
トータルセキュリティ クラウドに対応したセキュリティサービスの提供
汎用アプリケーション 仮想デスクトップ環境やBYODソリューションの促進
パートナーシップ コンサルティング企業との連携やパートナ企業へのクラウドサービス提供
データセンターの拡充については、マレーシア、シンガポール、香港、インドなどのアジア地域のほか、イギリスにも拠点を追加している。また、2013年には東京第6データセンターの開設を予定しており、現在、同社が持つデータセンターはグローバルで145拠点となっている。
通常、クラウドサービスとの接続については、専用回線の敷設が必要となるが、同社の場合はVPN接続サービス「Arcstar Universal One」を各国で展開しており、クラウドシステムとあらかじめ接続していることから、回線利用料やデータ転送料を掛けずに利用できる強みがある。
同社が提供する企業向けクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」は、これに加え、ネットワーク仮想化技術を採用したことで、データセンター内システムの構成変更をソフトウェアで実現している。これにより、物理的なネットワークスイッチを意識せずにシステム構成を必要に応じて変更できるようになっている。データセンター内だけでなく、データセンター間のネットワークも仮想化することで、データセンターをまたぐバックアップなども、低コストで実現できる。各国に分散して拠点を持つグローバル企業の要請に対応すべく、既に開設している香港、横浜のほか、2013年3月までにシンガポール、米国東西海岸、マレーシア、オーストラリア、シドニー、英国でも同サービスを展開する。
このほか、パブリッククラウドサービス「Bizホスティング Cloudn」も展開している(関連記事)。こちらは日本と米国にデータセンターを置く。
クラウドマイグレーションサービスの展開も注目だ。同社では、コンサルティングサービスの一環として、2013年初旬にもオンプレミス環境からのデータ移行サービスを展開予定だが、移行に際して、クラウド側の仮想ネットワークを活用し、オンプレミスシステム側のネットワーク環境に手を加えずに、同一のIPアドレスのままで移行を実現するというものだ。
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