NTTレゾナント「検証用Android端末、クラウド経由で貸し出します」遠隔操作でアプリをテスト

NTTレゾナントは11月13日から、Android向けアプリの開発者を支援するサービス「Developers AppKitBox」の提供を開始した。サービスの柱は、さまざまなAndroid端末の実機検証環境をインターネット越しに利用できる「Remote TestKit」だ。

» 2012年11月14日 14時55分 公開
[高橋睦美,@IT]

 NTTレゾナントは11月13日から、Android向けアプリの開発者を支援するサービス「Developers AppKitBox」の提供を開始した。サービスの柱は、さまざまなAndroid端末の実機検証環境をインターネット越しに利用できる「Remote TestKit」。さらに、開発ツールやフレームワーク、テストプロセスに関する情報を集めた「Knowledge Note」も提供し、Androidアプリ開発者をさまざまな角度から支援していくという。

NTTレゾナントの「Developers AppKitBox」

 Androidアプリ開発に際しては、テストに多くの時間と労力が費やされる。一口にAndroid端末といっても、チップセットやハードウェア、画面サイズ、その上で動作するOSのバージョンの違いまで含めると千差万別で、検証用の環境をそろえるだけでも一苦労だ。「現在、Android端末は全世界で4000種、日本国内だけでも400種あるという。検証コストの肥大化が課題になっている」(NTTレゾナント サーチ事業部 事業部長 小澤英昭氏)。

 そこでRemote TestKitでは、NTTレゾナントが46種類のAndroid端末をデータセンターに用意し、カトマック社の画像転送技術を利用して、インターネット越しに遠隔操作できるようにしている。OpenGLを利用し、毎秒15〜50コマで高速に画面転送を行うため、手元の開発環境に端末をUSB接続しているのと同じような感覚で検証、デバッグが行えるという。

テストのデモンストレーション。マウスを使って、PC画面上に表示されているURLをテスト機にドラッグ&ドロップすることも可能だ。マルチタッチには限定的に対応

 Remote TestKitで利用可能な端末一覧は、Developers AppKitBox上に記載されている。なお、iOSについては、Androidに比べてバリエーションが少なく、検証環境をそろえるのが比較的容易なため、提供していない。

 画像転送のため専用ソフトウェアをインストールする必要はあるが、Eclipseなど手元の開発環境をそのまま利用できることも特徴だ。キー入力やマウス操作などで挙動や表示を確認できるほか、apkファイルのリモートインストール、DDMS、ADT Plugin for Eclipseを用いたリモートデバッグ、adbシェルを用いたリモートコマンドの実行なども行える。スクリプトを用いたテストの自動化は、今後実装していく計画だ。

 「自分自身がアプリ開発者の立場で苦労してきたことを解決したい」(小澤氏)。

 Remote TestKitの利用は30分単位で区切られ、料金は、50時間分で4万円、100時間分で7万5000円(初期登録時に2時間半分のフリートライアルが付属する)。2013年1月からは個人向けに、1時間分で900円というサービスも提供する。なお各端末はリモートから専有レンタルするような形となるため、ほかのユーザーが検証している間は利用できない。端末数の拡大や予約機能も今後の検討課題という。

 NTTレゾナントでは、Developers AppKitBoxを通して、SDKやAPIの提供、ポータルを軸としたハッカソンなどのイベント開催などを実施し、コミュニティ醸成につなげていく方針だ。さまざまなAndroid端末の検証環境をSaaS形式で提供することで、スマートフォン向けアプリの品質を高め、日本のアプリ市場の発展に寄与していきたいという。

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