GNUプロジェクトの創始者であるリチャード・M・ストールマン氏が、米Amazonの検索結果を取り入れたUbuntuを「Ubuntuスパイウェア」と呼んで非難している。
GNUプロジェクトの創始者であるリチャード・M・ストールマン氏が、米Amazonの検索結果を取り入れたUbuntuを「Ubuntuスパイウェア」と呼んで非難している。
英Canonicalが10月に公開した「Ubuntu 12.10」では、検索機能の「Dash」が強化されてAmazonの検索結果が統合され、Amazonなどが提供する音楽やビデオなどのコンテンツ検索も可能になった。
これに対してストールマン氏はFree Software Foundation(FSF)のブログで12月7日、「フリーソフトウェアの主なメリットの1つは、コミュニティが悪意のあるソフトウェアからユーザーを守ることにある。ところがUbuntu GNU/Linuxはその逆を行った」と批判した。
ストールマン氏の主張では、Ubuntuが導入したのは「監視コード」であり、「ユーザーがUbuntuデスクトップを使って自分のローカルファイルを検索すると、Canonicalのサーバにその文字列が送られる」という。さらに、「Ubuntuはこの情報を使ってAmazonの商品についての広告を表示する。Amazonは数々の過ちを犯しており、Amazonを宣伝することによって、Canonicalはその過ちに加担することになる」とした。
だが問題の核心は広告よりもスパイ行為にあるとストールマン氏は続け、「GNU/Linuxの推薦や再販を行う場合、Ubuntuは推薦や再販の対象から外してほしい。Ubuntuはスパイ行為のために敬遠されていると人々に伝えてほしい」と言い切っている。
一方、CanonicalでUbuntuコミュニティマネジャーを務めるジョノ・ベーコン氏は自身のブログで7日、個人的見解と断ったうえで、ストールマン氏の主張はUbuntuに対して恐怖、不安、疑念をかきたてるだけの「FUD」だと反論した。
UbuntuのDashの目的についてベーコン氏は、「自分が興味を持っているもの、自分に合ったものを見つけられる中心的な場」を提供することにあると説明。「UbuntuとCanonicalは常にプライバシーを重視してきたが、プライバシーは極めて個人的な事柄であり、人によって定義は大きく異なる。従って、ソフトウェアにおけるプライバシーの実装について誰かが自分と異なる見解を持っていたとしても、それが間違いということにはならない」と指摘している。
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