日本HP、「ビッグデータはまず低コスト、大容量」のストレージサーバOSSと組み合わせるユニークなサーバ機発売

日本ヒューレット・パッカードは12月20日、最大180TBを格納できるビッグデータ向けの安価なストレージサーバ製品「HP ProLiant SL4500」を発表した。クラウドストレージサービスやビッグデータ分析サービスを提供する事業者、およびビッグデータ分析をコスト効率よく行いたい一般企業向けの製品だ。

» 2012年12月21日 09時35分 公開
[三木 泉,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は12月20日、最大180TBを格納できるビッグデータ向けの安価なストレージサーバ製品「HP ProLiant SL4500」を発表した。

 これはストレージサービスやビッグデータ分析サービスを提供する事業者、およびビッグデータ分析をコスト効率よく行いたい一般企業向けの製品だ。

 SL4500の実体はProLiantサーバ。それ以上のものではない。例えばLeftHandやWindows Storage Serverのようなストレージサーバソフトウェアを搭載しているわけではない。しかしほかのProLiantサーバとはハードウェアが大きく異なり、搭載ストレージ密度を高めることを重視した設計になっている。安価で大容量の記憶領域を提供するハードウェアという役割に徹し、データ管理やデータ処理の機能は、Map/Reduce、No SQLデータベース、スケールアウトストレージソフトウェアなどの機能を提供するオープンソースソフトウェア(OSS)にまかせるというコンセプトだ。

 米HPは別製品で、ビッグデータ/ビジネスアナリティクス向けに、自社のミドルウェアを搭載したストレージサーバや、ストレージ製品とサーバ機を組み合わせた製品も提供している。しかし今回の製品では、おもにサービス事業者のニーズに応えるため、低コストを最大のポイントに置いている。

SL4500は独特なモジュール構造となっている

 SL4500はProLiantサーバだが、独特な設計となっている。4.3Uという中途半端なサイズだが、CPUモジュールとハードディスク搭載モジュール、I/Oモジュールを組み合わせることで、CPUとストレージの数が異なる3モデルを提供する。しかしいずれも、CPUコア数に比べて搭載ハードディスク数が圧倒的に多い構成になっている。

CPUモジュールとハードディスクの搭載比率によって3モデルが提供される

 日本HPは同時に、SL4500とOSSの組み合わせを共同推進するため、Cloudera(Hadoopのディストリビューションを提供)、レッドハット(ストレージソフトウェアGlusterを提供)、SCSK(No SQLデータベースCouchbaseを国内販売)と提携したと発表した。

 ではこの提携では何ができるのか。これらのソフトウェアはどんな汎用コンピュータでも動作する設計のため、共同マーケティング以外、特別にできることはなさそうに思える。だが、@ITの質問に対し、レッドハットのプロダクトマーケティングマネージャー、石井明氏は「GlusterFSはすでに多くの事業者で使われているが、多くのユーザーにとって気になるのはパフォーマンス。このため、SL4500の構成でベンチマークテストを行うことが重要」だという。また、GlusterFSの商用版はノード単位の課金であるため、CPUノード数を抑えて大容量ストレージを搭載したSL4500は、ソフトウェアコストの観点からも経済的な選択肢になると話した。

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