ジュニパーネットワークスは2月15日、同社が1月15日に米国で発表したSoftware Defined Networking(SDN)戦略、および同社ネットワーク製品の「SDNに向けた」新ソフトウェアライセンス体系について、国内で説明した。新ライセンス体系は同社のSDN戦略を理解するうえで、もっとも重要なカギなのかもしれない。
ジュニパーネットワークスは2月15日、同社が1月15日に米国で発表したSoftware Defined Networking(SDN)戦略、および同社ネットワーク製品の「SDNに向けた」新ソフトウェアライセンス体系について、国内で説明した。
2月15日に説明を行った米ジュニパー SDNソリューションアーキテクトのジェームス・ケリー(James Kelly)氏は、ジュニパーは「決して急いではいない」と強調した。日本を含めた先進市場におけるユースケースやユーザーの要望を十分に検討していくという。
SDNというと、ネットワーキング機能をフォワーディングプレーンとコントロールプレーンの2つへの分割を進めると答えるベンダが多いが、ジュニパーはフォワーディングプレーン、コントロールプレーン、サービスプレーン、マネジメントプレーンの4つのレイヤで考えている。これが1月に米国で説明したジュニパーのSDN戦略における、最も重要なポイントだとケリー氏は説明した。
だが、これはそれほど驚くことではない。マネジメントプレーンはネットワーク機器の構成・設定管理のことであり、サービスプレーンとは、例えばDPI(Deep Packet Inspection)や、ADC(Application Delivery Controller)が提供しているような付加価値機能のことだ。これらとの連携をどうするかは、どのネットワーク製品ベンダでも考えなければならないし、考えている点だ。「SDN戦略」に含めたからといって、それだけでほかより優れているということにはならない。「SDN戦略」に含めるのであれば、これらをどのように統合的に抽象化していきたいのかが具体的に説明できなければならない。
ジュニパーは、4つのレイヤへの分割のほかに、SDNで次のような原則を推進するとしている。
現在のところはっきりしているのは、ジュニパーが複数のルータシリーズでOpenFlowをサポートしていること、ネットワークアプリケーション開発用に、複数のSDKを提供していること、2012年12月に、SDNコントローラの新興企業、Contrail Systemsを買収したことだ。ジュニパーはこれらを生かして、SDNへの具体的な取り組みを進めていくと説明した。より具体的には、筆者がケリー氏に聞いたことも含めて、別記事でお伝えしたい。
ケリー氏が説明したもう1つのトピックである、新ソフトウェアライセンス「Juniper Software Advantage」は興味深い。この新ライセンスも、提供時期は2013年中としか示されておらず、具体的なパッケージングもまだ明らかではない。だが、現時点でも、十分期待できる部分がある。
ジュニパーは、新ソフトウェアライセンス体系で、ハードウェアとソフトウェアを明確に分離するという。現在のネットワーク機器でも、ソフトウェア機能としては複数の別パッケージが提供されていることが多い。しかし、この新ライセンスは、ハードウェアからの分離度が高い。
新ソフトウェアライセンスでは、まず従来型の「買い切り」型に加え、サブスクリプション型ライセンスを用意する。このライセンスでは、「ライフタイムアシュアランス」で、バージョンアップに対する保護も提供する。これらのソフトウェアモジュールを個別に買うか、一括で買うかも選択できる。さらに、何らかの利用量に基づく課金も導入するという。「もっとも重要な点は、ライセンス料の計測方法が、ユーザーの得る価値と連動することだ。管理対象ユーザー数、管理対象システム数、スループット、コア数などで測ることが考えられる」(ケリー氏)。
ソフトウェアライセンスは専用ハードウェア機器間で移行することもできる。さらに、専用ハードウェア機器から、x86サーバ上やクラウド上への移行もできるようにするという。上記のフォワーディングプレーン、コントロールプレーン、サービスプレーン、マネジメントプレーンの4つのプレーンの分割は、この新ライセンスモデルに直結することになるようだ。
ジュニパーのSDN戦略について詳しくは、別記事で紹介する。
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