仮想デスクトップは仮想ワークスペースへ、ヴイエムウェアWebブラウザでHTML 5アクセス

ヴイエムウェアは2月21日、2012年のVMworldで米ヴイエムウェアCTOのスティーブ・ハロッド氏が初めて紹介した次世代デスクトップのビジョンを具体化する製品群を発表した。

» 2013年02月22日 16時25分 公開
[三木 泉,@IT]

 ヴイエムウェアは2月21日、デスクトップ仮想化関連の新製品群、「VMware Horizon Suite」を、第1四半期中に提供開始すると発表した。2012年のVMworldで米ヴイエムウェアCTOのスティーブ・ハロッド(Steve Herrod)氏が初めて紹介した次世代デスクトップのビジョンを具体化した製品群といえる。

 分かりやすさのために、上記では「デスクトップ仮想化関連」と表現した。しかし、日本法人の代表取締役社長である三木泰雄氏が新製品群について「エンドユーザーコンピューティングの課題を解決するトータルな基盤」と説明したように、デスクトップ仮想化関連製品は、「仮想ワークスペース」という次の段階に移行しようとしている。

ヴイエムウェア代表取締役社長 三木泰雄氏

 VMware Horizon Suiteは、デスクトップ仮想化製品の「VMware View」を改称した「VMware Horizon View」、物理PCのOSやアプリケーションの集中管理を実現する「VMware Mirage」を改称した「VMware Horizon Mirage」、そして新製品の「VMware Horizon Workspace」の3つで構成される。当然ながら従来どおり、それぞれを個別に購入することも可能だ。

 新製品のHorizon Workspaceは、エンドユーザー用の新たなワークスペースを提供するWebポータルと、これを支える管理やサービスのための製品で構成されている。エンドユーザーは、このポータルのメニューから、「データ」「アプリケーション」「コンピュータ」のいずれかを選択できる。

 「データ」を選択すると、ヴイエムウェアが開発したファイル同期/共有機能(同社は「Project Octopus」と呼んできた)が立ち上がる。この、「企業向けDropbox」とも呼べるファイル共有機能は、サービスではない。企業が自ら運営するものであることが、組織としてのセキュリティ担保につながると、ヴイエムウェアでは説明している。エンドユーザーは外部ユーザーとファイル共有することも可能だが、運用担当者は共有の相手を、特定組織あるいは特定ユーザーに限定できるという。

 「アプリケーション」を選択すると、このユーザーが利用を許されているアプリケーションのメニューが表示される。これは既存製品「VMware Horizon App Manager」の機能。すなわち、Horizon WorkspaceにはHorizon App Managerが含まれている。運用担当者は、組織としての集中管理のもとで、ユーザーの役割や利用端末などに応じてアプリケーションを提供できる。SAMLへの対応により、Salesforce.comやGoogle Appsへのシングルサインオンも提供できる。

 「コンピュータ」を選択すると、Horizon Viewによるデスクトップ仮想化環境に移動できる。

HTML 5で、あらゆる端末から仮想化環境を利用

 Horizon View、Horizon Mirageも新バージョンとなり、新たな機能が加わった。特にHorizon View新バージョン5.2のWebブラウザアクセスは大きな機能追加だ。

ユーザーは、セッション開始時に、Webアクセスか従来方式かを選択できる

 これはヴイエムウェアが「AppBlast」というコードネームで開発してきた機能の第1弾。同社は、Webインターフェイスを持たない既存アプリケーションの画面1つ1つを、その場でHTML化する機能を開発してきた。だが、米ヴイエムウェアCTOのハロッド氏は、AppBlastを初めて紹介した際、まずはデスクトップ仮想化画面全体のHTML化に取り組むと説明していた。この仮想化画面全体のHTML化が、View 5.2で実現した。

 この機能では、変換サーバが仮想デスクトップ画面をHTML5化し、(WebSocketsを活用して)端末に届ける。このため端末側は、HTML 5ブラウザだけがあればいい。ユーザーは、仮想デスクトップセッションの開始時に、PCoIP、RDP、そしてHTMLのいずれによって接続するかを選択できる。この機能はHorizon Viewのライセンス料金に含まれているので、追加コストはかからない(Horizon Viewは同時接続ユーザーライセンスであるため、同時接続数が増えればライセンス料は上昇する。また他の2製品はNamed Userライセンスであり、Horizon SuiteもNamed Userライセンスとなっている)。

 Horizon View 5.2では、サーバに装着した3Dグラフィックスカードを、複数の仮想デスクトップから共有で使える機能も追加された。また、スマートフォンやタブレットなど、タッチ式端末のジェスチャとの連携が強化された。

物理環境の管理を実現するMirage

 Horizon Mirageは、「現実的」な製品だ。すべての端末にデスクトップ仮想化を適用できる、あるいはしたいという企業は多くない。そうした企業が、物理環境のまま残す端末についても、一元管理により運用負荷を軽減したいという場合に使える。

 現状では、PC間の移行や新OSへの移行のためのツールとして、国内でもすでに多くのユーザーがいるという。そのため、ヴイエムウェアでは期間限定のライセンスも提供している。

 新バージョンHorizon Mirage 4は、ThinAppとの統合、VMware Fusion Professionalの同梱などが新しい。

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