OpenFlowの世界におけるリーダーとして活動してきたBig Switch Networksが3月5日、日本市場への本格進出を発表した。同社が現在、最大の競合相手として意識しているのは、シスコシステムズの物理的なネットワーク製品とヴイエムウェアのエッジオーバーレイ技術だという
Software Defined Networking(SDN)のリーダー的存在の1社である米Big Switch Networksは3月5日、日本市場への進出を発表した。日本法人を設立したわけではないが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)およびネットワンシステムズと販売代理店契約を締結、同社のOpenFlowコントローラおよびアプリケーションを国内展開する。
Big Switchは、同社のコントローラにより、OpenFlowプロトコルを用いて物理スイッチおよび仮想スイッチを制御、OpenFlowによるトラフィックステアリングと、エッジオーバーレイ(分散トンネリング)によるネットワーク仮想化を実現している。
Big Switchは、同社の開発したOpenFlowコントローラのコア部分をオープンソースで提供(「FloodLight」)する一方、Open Networking Foundation(ONF)のフレームワーク&アーキテクチャ・ワーキング・グループで委員長を務め、数々の接続実証を主導するなど、OpenFlow関連で活発に活動してきた。2012年11月にはFloodLightに周辺機能を付加したOpenFlowコントローラ「Big Network Controller」、その上で動くネットワーク仮想化アプリケーション「Big Virtual Switch」、同じくネットワーク監視アプリケーションの「Big Tap」を米国で正式にリリースした。それから4カ月、同社は第2の市場として日本に進出した。
CEOのグイド・アッペンツェラー(Guido Appenzeller)氏は、「これまで物理スイッチによるOpenFlow対応など、エコシステムが十分に整わないことがSDNの発展を送らせてきたが、ようやく環境が整ってきた」と話した。
同社が現在、最大の競合相手として意識しているのは、シスコシステムズのネットワークハードウェア製品とヴイエムウェアのエッジオーバーレイ技術。アッペンツェラー氏は、同社が上記のようにOpenFlowによるトラフィックステアリングとエッジオーバーレイの双方を持ち、この2つのハイブリッドも可能であることから、顧客に対してより幅広い選択肢を提示できるとする。また、2社が垂直統合型のビジネスモデルであるのに対し、Big SwitchはコントローラのNorthbound APIを使って他社がアプリケーションを書くことのできるオープンなモデルだと話した。
Northbound APIの標準化についてのスタンスをたずねたところ、アッペンツェラー氏は「歓迎する」と答えた。米国ではOpenFlowコントローラ単体としての販売も行っているが、「売り上げの大部分はすでにアプリケーション」だからだという。現在、同社はコントローラのコア部分のみをオープンソースとして提供しているが、将来は周辺機能も含めてオープンソース化する可能性もあるという。
CTCは同社の描くワークスタイル変革、およびSoftware Defined Infrastructureの考え方に合致する製品として推進していくと話した。また、ネットワンシステムズは、IDC Japanによる2016年のSDN市場予測300億円の3割獲得を目指すという。ネットワンが発表した製品の価格は、Big Network ControllerとBig Virtual Switchのパッケージが最小構成価格で年額1240万円、Big Network ControllerとBig Tapのパッケージは同じく年額450万円となっている。
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