PCIeフラッシュの主要ベンダである米Fusion-io。その共同創業者でCEO兼プレジデントのデイビッド・フリン氏は、「フラッシュメモリのことだけではない。オープンなアーキテクチャの話だ。独自アーキテクチャからの解放の話だ」と話した
PCI Express直結型フラッシュストレージ(PCIeフラッシュ)のリーダー的な存在として知られる米Fusion-io。その共同創業者でCEO兼プレジデントのデイビッド・フリン(David Flynn)氏は、筆者がインタビューを始めようとテーブルに置いたIC レコーダーを指して、こういった。
「あらゆるデバイスがフラッシュメモリを搭載するようになった。メインフレームはPC に移行したが、いまコンシューマーエレクトロニクスがストレージ・メインフレームを駆逐しようとしている。ストレージ・メインフレームとは、EMC に代表される、数百台ものドライブを備えた大きなストレージアレイのことだ」
―― Fusion-io も、NAND メモリ市場の拡大によるメリットを享受できるということか。
「フラッシュメモリのことだけではない。オープンなアーキテクチャの話だ。EMC のような独自アーキテクチャからの解放の話だ。ストレージ・メインフレームにデータを入れなくても、サーバ上で顧客の問題を解決できる」
フリン氏は、PCサーバがメインフレームに代わって、企業や組織のITにおける主役になったことになぞらえて、PCIeフラッシュとストレージ装置の関係を語るのが好きだ。だがこれは、新興企業が自社に土俵を引き寄せるために、既存ベンダを攻撃する際の典型的な言い方だととらえることもできる。
現実には、Fusion-ioの製品は決して安価なものではない。また、言葉の定義にもよるが、同社製品自体が「オープン」かといえば、そうはいいきれない。安価なPCハードウェアに装着できるからといって、そのPCよりもはるかに高価な自社製品のほうが優れているというのは、論理に飛躍がある。
一方、ストレージ装置の世界では、IAアーキテクチャの採用が進んでおり、外見は専用設計のように見えても、中身はPCサーバと似たものが増えている。その点でも、PCIeフラッシュとストレージ装置の関係は、PCとメインフレームの関係とは異なる。
それでも、Fusion-ioはPCIeフラッシュのサービスプロバイダにおける利用拡大の立役者であることに変わりはない。同社は、単なるハードウェアコンポーネントを超えた自社製品の価値を巧みに訴え、成功してきた。上記のような言い方も、ハードウェア的な無駄を極限まで省くとともに、自社の技術力でパフォーマンスをコントロールしようとするフェイスブックのような人々にとっては分かりやすい。実際に、Fusion-ioの売り上げの約50%は、フェイスブックおよびアップルへの販売が占めている。
Fusion-ioの今後の成長は、フェイスブックと同様な考え方を持つ他のサービスプロバイダを、どれくらい開拓できるかに大きく左右されることになるはずだ。
Fusion-ioの戦略を軸に、サービスプロバイダ市場におけるPCIeフラッシュの利用の広がりを、「PCIeフラッシュ、普及への文脈 前編」にまとめました。ぜひご覧ください(本コンテンツのダウンロードには、TechTarget会員登録が必要です)。
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