情報処理推進機構(IPA)は3月28日、「IT人材白書2013」を発表した。グローバル化とともに、拡大するWebビジネス市場に求められるスキルが明らかになった。
情報処理推進機構(IPA)は3月28日、「IT人材白書2013」を発表。IT企業(※1)の3割強がWeb関連ビジネスへシフトするとの動きが明らかになった。こうした動きは、従業員数が100名以下の企業において特に活発に見られている。
近年、IT分野ではWeb関連ビジネスが急速な拡大を見せている。「経済産業省平成23年度次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発・実証事業(ウェブビジネスの動向を踏まえたIT産業における競争力強化戦略に関する調査研究)」によると、Webビジネスの市場規模は2010年では10兆円だったのに対し、2020年には約5倍の50兆円近くに達すると推計されている。
Web関連ビジネスへのシフトに伴い、人材の動きにも変化が表れた。Web関連企業に中途入社した人のうち、同業他社となるWeb関連企業からの転職が約半分だが、ITベンダからの転職も約4分の1を占める。「ITベンダでの勤務経験がある人材は、ソフトウェアに対する強い興味がある」との理由で、Web関連企業が歓迎しているようだ。
また、スピード感やチャレンジ精神に加え、複数の能力を持ち合わせる「マルチプレイヤー的人材」が、Web関連企業に求められていることも明らかになった。インタビュー調査によると、発想力や実行力、能動的にサービスを作るマインド、顧客の要望を具体的に実現できる企画力、技術とアイデアを結び付ける力、技術ドリブンで提案する力、利用実態からユーザーの分析を行う力、いくつかの要件からすぐにプロトタイプを作れる力などが挙げられている。
なお、求められるIT人材像は、「ビジネスモデルや提供するサービスの種類によって異なる」とされるが、どの企業にも共通して求められることは「技術力」であることが分かった。
Web技術者は他のIT技術者と比較し、開発スタイルにも違いが見られる。ITベンダ技術者の半数以上が「ウォーターフォール型」と回答しているのに対し、Web技術者は「アジャイル型」と回答した割合が36.4%にも及ぶ。
今回の調査結果を受けて、IPAは「ITの変化の中で『攻めのIT』を実現できる人材の育成や確保が急務ではないか」とコメント。グローバルを視野に入れた、マルチな経験と能力を持つ人材が求められている。
調査対象は、以下の通り。
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