日本オラクルは4月4日、仮想ネットワーク戦略「Oracle Virtual Networking」に関する戦略説明会を開催した。
日本オラクルは4月4日、仮想ネットワーク戦略「Oracle Virtual Networking」に関する戦略説明会を開催した。買収した旧Xsigo Systemsの製品をベースに、広帯域なInfinibandを活用してネットワーク基盤を構築するアプローチを展開していく。
Oracle Virtual Networkingでは、旧Xsigoの製品をベースにした仮想化コントローラ「Oracle Fabric Interconnect」を中核にしてInfiniBandネットワークを構成。イーサネットのほか、ファイバチャネル(SAN)、iSCSIやCIFSなどNASで利用されるプロトコルを収容し、その上で「Oracle Fabric Manager」という管理ソフトを通じて、仮想マシンと仮想ネットワークとをひも付けていく。
デモンストレーションでは、Oracle Fabric Managerで仮想マシンに仮想NICを追加し、ドラッグ&ドロップで定義済みのネットワークとひも付ける作業を行ってみせた。「VisioやPowerPointのような感覚で操作できる。画期的な運用管理といえるだろう」と、日本オラクル システム事業統括 ソリューション・プロダクト統括本部 副統括本部長兼プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長の宮坂美樹氏は述べている。
Oracle Virtual Networkingの特徴の1つは、InfiniBandの採用によって広帯域/低遅延のネットワークを構築できることだ。Oracle Fabric Interconnectは40Gbps InfiniBandに対応しており、今後のInfiniBand高速化のロードマップにも追従していく方針だ。InfiniBand Socket Direct Protocolによって、従来のTCP/IPを透過的に利用しつつ、アプリケーションの高速化を図れる点もメリットという。
また、複数の仮想NICを、Oracle Fabric Interconnectの異なるポートで別々に終端させるため、論理的にではなく、物理的にトラフィックを分離できることも特徴だ。このため、ケーブルを1本に統合しながら、VLANなどの手法に比べ高いセキュリティを実現できる点が評価されているという。
説明会には、2012年5月から本格稼働したグローバルな共通ITインフラにOracle Virtual Networkingを採用したリコーのIT/S本部 ITインフラ統合センター ソリューション事業支援室の和久利智丈氏も出席し、その狙いについて説明した。
リコーグループの新たな共通ITインフラは、ユーザー部門に対する迅速なサービス提供やコスト削減を目指し、それまで会社や部門単位で構築してきたサービス基盤を集約したものだ。スケーラブルなこと、物理的なケーブルも含めてシンプルな設計、運用が可能なことなどを念頭に置いて選択したのがOracle Virtual Networkingだったという。
「いったん稼働したVMwareなどの仮想サーバを止めることはタブーに近い。メンテナンスウィンドウを作るためのコストも非常に大きくなるが、Oracle Virtual Networkingではハイパーバイザを稼働させたままネットワークの構成変更作業が行えるため、『ちょっとNICを追加したい』といった作業が非常に楽になった」(和久利氏)。同氏はさらに、配線やポート数を削減できたこと、VLANではなくNIC単位でトラフィックを完全分離できたことなどもメリットだと説明している。
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