米シスコが企業ネットワーキング製品群で最上位機種を含む新製品を発表した。また、同社ネットワーク機器が接続性を提供するだけでなく、ネットワークと融合したアプリケーションの開発を支援する環境を整備していくことを、改めて強調した。
米シスコシステムズは6月24日(米国時間)、同社が米国で開催中のイベント「Cisco Live 2013」で、Catalystシリーズなどの企業ネットワークスイッチで集中的な発表を行った。
「これほどのCatalyst製品群のリフレッシュは長年で初めて」とシスコはいう。最近、同社のネットワークスイッチではデータセンターをカバーするNexus製品群に注目が集まりがちだが、今回シスコは新たな最上位機種を投入するなど、企業の社内ネットワークを担うCatalystスイッチの存在価値を改めてアピールした。
最大の発表はCatalyst 6800シリーズ。これまでのCatalyst最上位機種であるCatalyst 6500シリーズを大幅に超えるスペックを備える。10Uサイズ、7スロットのCatalyst 6807-XLはスロット当たり最大880Gbps、スイッチとしては11.4Tbpsの容量だ。同時に発表されたボックス型スイッチのCatalyst 6800iaは、これを遠隔的にラインカードのように使うことで、Catalyst 6800/6500シリーズを容易に拡張できるというものだ。設定や管理は一括してCatalyst 6800/6500シリーズ側で行える。
Catalystスイッチではほかにも、有線と無線を統合できる新スーバーバイザモジュール「Catalyst 4500E Supervisor Engine 8E」が発表された。また、大規模ブランチ向けの多機能ルータ「ISR 4451-AX」、WAN最適化の「ASR 1000-AX」も発表された。
シスコは、Catalyst 6800シリーズでOpenFlow 1.3に対応する。一方で、同社はネットワーク製品で共通のAPIを提供する「Cisco onePK」の取り組みを進めている。
同社は今後12カ月のうちに、同社のルーティング/スイッチング製品すべてでonePKをサポートするという。まず2014年第1四半期に、今回発表のISR 4451-AXとASR 1000-AXが対応するとしている。
シスコは、これまでのSDN(Software Defined Networking)から踏み出した考え方で、同社ネットワーク製品のAPIの活用を推進しようとしている。現在一般的に議論されているSDNは、おおむねネットワーク機能をソフトウェアから制御することを目的としている。シスコはそれに加え、逆にネットワーク機器からリアルタイムで端末の位置情報などを取得し、これをアプリケーションが活用できる世界を目指している。
例えばある病院では、医師が出勤し、病院構内に入ってきたことを、シスコの無線アクセスポイントで把握し、この情報を得たアプリケーションから、その日にこの医師が担当する患者のカルテ情報などをプッシュ送信するといったアプリケーションをつくっているという。
シスコはこうした、SDNよりも広い、ネットワークとアプリケーションの融合のコンセプトについて、「Cisco ONE Enterprise Networks Architecture」という言葉を新たに提示し、その実現に向けた活動を進めていくとしている。SDNがデータセンターやWANでのネットワーク機器のコントトロールを意味する言葉にとどまるのなら、新しい言葉で表現する必要があるということだろう。
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