2013年8月6日、13企業が集結して「超高速開発コミュニティ」を設立。
日本生産性本部の調査(2011年)によると、日本の労働生産性は世界19位。その要因の1つとして、経営の変化に対して情報システムが迅速に対応できないことが挙げられるという。この問題を解決すべく、2013年8月6日、13の企業が集結して「超高速開発コミュニティ」を設立。個人の力量に依存した労働集約型のシステム開発/保守といった旧来のやり方を抜本的に見直すために立ち上がった。
超高速開発コミュニティのミッションは2つ。「企業のスピード経営の実現」と「魅力あふれるIT業界への変革」である。
これまで、個人の力量に依存した労働集約型のシステム開発/保守をしていたため、生産性の向上が難しく、システム開発プロジェクトの成功率も二十数%と、とても厳しい状況にあった。また、「きつい、厳しい、帰れない」といった「新3K」と呼ばれるイメージが付きまとい、人材確保も困難だったという。
今後、超高速開発コミュニティは、開発ツール・開発メソッドの活用により「高い生産性」と「変化に対する迅速な対応能力」、そして「高品質」の実現を目指す。元ITコーディネータ協会会長であり、超高速開発コミュニティの会長を勤める関隆明氏は、「これまではそれぞれのベンダごとに、開発ツールやメソッドの活用促進を行ってきた。しかし、ビジネス現場で競合する13社が一致団結してコミュニティを形成することで、情報システム開発の改革を実現する」と意気込みを語る。「競合する企業が切磋琢磨し、お互いを成長させ合い、市場を大きくしていく。得意な分野や範囲が異なるので、そこに対して抵抗はない」(関氏)。
しかし、筆者にはどうしても気になったことがあった。Web開発者コミュニティに比べ、超高速開発コミュニティの年齢層が高いことに引っかかりを感じ、若者との関わり方への質問を投げかけた。「このコミュニティは、Web開発者コミュニティのように若者でも参加できるのか。参加できるとしたら、どのように関わることが可能か」(筆者)。――創設メンバーたちは口をそろえた。「本当は、どんどん若者たちにアプローチしたいと思っている。若いときから上流工程を経験してもらって、次の世代を育てていきたい。しかし、まだ、うまいやり方が見つからない。だから、直接私たちのコミュニティにコンタクトを取ってもらえたら、できる限り対応する。もし、具体的な要望があれば、アグレッシブにぶつけてくれたらうれしい」。
また、「いくらこのような取り組みをしても、エンジニア同士の情報交換の場がなければそこまでのコミュニティになってしまうのではないか」という会場からの厳しい意見に対しても、「なるほど! そのとおりですね」と、すんなり意見を取り入れていたのが印象的だった。
設立メンバーとなった企業は、ソフトウェア開発の自動化ツールを提供する以下の13社。
今後も、ユーザー企業やSIer、ベンダ、また開発ツールを提供している設立メンバー以外のIT企業など、システム開発に関わるあらゆる企業の積極的な参加を呼び掛けていくという。
筆者はこのようなコミュニティに初めて出会った。筆者と創設企業メンバーの年も離れているし、ほとんどの人がスーツを着ている。超高速開発コミュニティは、その勢いのあるネーミングとは裏腹に、一見するとエグゼクティブ層が集う近寄りがたいコミュニティにさえ感じる。しかし、勇気を出してコンタクトを取ってみてほしい。超高速開発コミュニティは、若者たちのエネルギーを歓迎し、私たちに必要なエッセンスをくれる。日本が19位で黙っているわけにはいかない。
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