ウイルス対策から「デジタルライフの保護」へ、ウイルスバスター2013年版発表強化ポイントは“プライバシー保護”

ウイルス対策ソフトとして1991年から歴史を重ねてきたトレンドマイクロの「ウイルスバスター」2013年版が発表された。コンシューマ向けのセキュリティ対策ソフトは、マルチデバイス対応、サービスを含めたデジタルライフ全体を守る方向へシフトしつつある。

» 2013年09月19日 20時38分 公開
[宮田健,@IT]

 トレンドマイクロは2013年9月19日、コンシューマ向けのセキュリティ対策製品の2013年版「ウイルスバスター クラウド」「ウイルスバスター モバイル」などの新製品を発表した。同日よりダウンロード販売を開始し、パッケージ版は10月3日より順次発売を開始する。

 近年のセキュリティ対策ソフトは単なる「PCのウイルス対策」だけでなく、さまざまなセキュリティ機能を内包し、総合的なセキュリティ対策ツールとしてパッケージ化されている。トレンドマイクロの場合も、マルチデバイスに対応したさまざまな機能を追加/強化している。

 特にトレンドマイクロは「プライバシー保護」と「サポートの拡充」を重視している。各製品の特徴を解説しよう。

Facebook/Twitter/Google+のプライバシー保護設定を分かりやすく

 2013年版の「ウイルスバスター クラウド」では、SNSのプライバシー設定を確認し、自分の個人情報が適切な範囲で公開されていることを分かりやすく確認する「プライバシー設定チェッカー」の機能が拡充された。従来Facebookに対応していた同機能が、Twitter、Google+にも対応したことが特徴だ。

 プライバシー設定チェッカーはFacebookで10項目、Twitterで4項目、Google+についても4項目のプライバシー設定チェック項目があり、各SNSサービスの設定内容を確認するだけでなく、APIを経由して設定変更まで行える。

プライバシー設定チェッカーの画面 プライバシー設定チェッカーの画面。項目名は「個人の特定に利用される可能性」など分かりやすい表現になっている。

 また、サポート面を拡充し、「ウイルスバスター クラウド+保険&デジタルライフサポート」を購入することで、従来より対応していたPC、Mac、周辺機器に加え、Android/iOSの設定、さらにFacebookやLINEなどSNSの使い方のサポートもカバーする。

サポート範囲を拡充 サポート範囲を拡充

 ウイルス対策などの基本機能についてもブラッシュアップが行われており、リアルタイムスキャンに要する時間を最大16.9%短縮するなどの機能向上を実施した。ベータ版使用ユーザーの84%から高速化を体感したというアンケート結果も出ている。

 また、10月18日にリリース予定のWindows 8.1にも対応し、タッチ操作可能で最新のセキュリティ情報をタイルで表示できるWindows ストアアプリ「トレンドマイクロ コネクト」も10月下旬に無償で提供する。

トレンドマイクロ コネクト トレンドマイクロ コネクトをタップすると、動画やコラムを含むセキュリティの最新情報が一覧できる
Windowsのタイルに最新情報を表示 トレンドマイクロ コネクトではWindowsのタイルにも最新情報が表示される

「スマホお探しサポート」を強化、不正アプリをクラウドで評価するスキャン機能も

ウイルスバスター モバイル 2ステップでプライバシー設定を変更可能

 同時にリリースされる「ウイルスバスター モバイル」では、GPS情報をもとにスマートフォンの盗難、紛失時に探索する「おまかせ! スマホお探しサポート」サービス付きの製品を用意する。この機能を利用することで、トレンドマイクロのサポートに電話1本で、スマートフォンのデータをクラウド上にバックアップした上でデータの消去を実施することが可能となる。

 また、不正ソフト対策ではトレンドマイクロのクラウドサービス「Smart Protection Network」(SPN)の技術を基に、不正アプリの検出時に利用するパターンファイルの約9割をクラウド上に保存、デバイスには最小限のパターンファイルのみを保存する。これにより、最新の脅威に対応しつつ、端末のパフォーマンスをキープできるとしている。

 また、SNSプライバシースキャナアプリと連携し、Facebookのプライバシー設定の安全性の確認が行える機能も提供する。

「パスワードマネージャー」はMac対応

 増え続けるパスワードを管理するための製品も強化された。「パスワードマネージャー」ではWindows、Andorid、iOSに加えて要望の高かったMac対応が行われた。

Mac版「パスワードマネージャー」 Mac版「パスワードマネージャー」の画面

トレンドマイクロは3つの「D」でユーザーを守る

大三川 彰彦氏 トレンドマイクロ取締役副社長 日本地域担当 グローバルコンシューマビジネス担当の大三川 彰彦氏

 トレンドマイクロ取締役副社長 日本地域担当 グローバルコンシューマビジネス担当の大三川 彰彦氏は新製品について、「SNS対応の強化、プライバシー保護の拡充、サポートメニューの増強の3点を強化することによって、お客様のデジタルライフを守る」と述べた。

 同氏によると、スマートフォン/タブレットの不正アプリはこの1年で25倍以上に増加し、2013年には特定の企業、ユーザーを狙う「標的型の不正アプリ」を初めて確認したという。以前に比べスマートフォンやタブレットといったコンパクトな端末が増えたこと、また従来であればパッケージソフトを購入しインストールしていたが、いまではアプリストアに登録された無数のソフトを選び、ダウンロードするというライフスタイルとなったことなどから、ウイルス対策だけでなくプライバシー漏えいリスクに対応する製品が必要となると述べた。

 トレンドマイクロによるとAndroidアプリのうち、全体の約2割にはプライバシー漏えいリスクが存在するという。また、昨今問題になっているパスワードの使い回しが引き起こす不正アクセスや、SNS利用の活発化にともなうプライバシー設定のミスによる情報公開範囲への懸念も多い。

 トレンドマイクロは2013年5月に同社の「3D戦略」を発表している。3Dとは「デバイスプロテクション」「データアクセス」「ダウンロードアプリ」を指す。この中には不正アプリ対策だけでなく、パフォーマンス管理やフィッシングサイト対策、プライバシー情報漏えい対策やスマートフォンのリソース消費評価などが含まれる。

大場 章弘氏 トレンドマイクロ 上席執行役員 コンシューマビジネス統括本部長の大場 章弘氏

 上席執行役員 コンシューマビジネス統括本部長の大場 章弘氏は「ストアからアプリをダウンロードして利用するようになるなど、ITスタイルの変化が大きい。ウイルスバスターも『クラウド』『モバイル』に加え、『パスワードマネージャー』や『トレンドマイクロ コネクト』などを提供し、それをビッグデータ分析に基づいたグローバルスレットインテリジェンス基盤、『SPN』が支えるような戦略を考えている」と述べる。

 ウイルスバスター クラウドはダウンロード版が4980円から(1年)。ウイルスバスター モバイルはダウンロード版が2980円から(1年)で、どちらの製品もパッケージ版はオープン価格。パスワードマネージャーはダウンロード版が月額150円、パッケージ版は1780円から(1年)という価格で発売される。

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