一般に、DevOpsの方法論としては、アプリケーションのデリバリ部分にフォーカスする向きも多い。そうした中、DevOpsを「開発部門と運用部門のニーズを担保しながらリリースサイクルを速めるとともに、アプリケーションライフサイクル全般をセキュアに運用して、ビジネスの進展に確実につなげていく取り組み」と捉えているのがCA Technologiesだ。
支援ツールもアプリケーションライフサイクル全体を視野に入れ、「合理的なアプリケーション企画・開発」「迅速・高品質なデリバリ」「Service Assurance」「安全性の担保」という4つのポイントにフォーカス。具体的には以下の製品群を「DevOps支援ソリューション」と位置付けている。
このうちDevOps実践の核となるのは、Service Assuranceを支援する「CA Application Performance Management」(以下、CA APM)と、迅速・高品質なデリバリを実現する「CA LISA Service Virtualization」(以下、CA LISA SV)だ。
CA APMはアプリケーション性能問題の迅速な原因特定を支援する製品。エンドユーザー視点でアプリケーションのパフォーマンスを監視することで、全システム構成要素の稼働状況を統合的に監視し、原因箇所の迅速な特定を行う。というのも、DevOpsを実践する上では、アプリケーションを本番環境にリリースした後、問題があれば迅速に原因を特定し、開発部門にフィードバックして改修を依頼する必要がある。CA APMは、そうした“ネガティブフィードバック”の迅速化に役立つ格好だ。
とはいえ、ネガティブフィードバックは極力少ない方が望ましい。そこでアプリケーションの品質を最初から確実に担保できるよう、テストの迅速化・確実化を支援する製品として、CA LISA SVを用意している。
これは“テストのスピード、品質担保を阻むさまざまな制約”の解消を狙ったツールだ。制約とは、例えば連携先システムに時間的なテスト利用制約があるために、十分な連携テストが行えない「利用不可制約」、連携先システムが未完成のために結合テストに待ち時間が発生する「未完成制約」などを指す。
CA LISA SVは、連携先システムの振る舞いをエミュレートして仮想サービスを生成することで、連携先システムの実体がなくてもテスト実行を可能とする。これにより、例えば「テストAが終わるまでテストBはできない」「納期までの時間やコストが足りないために、十分な品質検証が難しい」といった問題を解消し、テスト作業の迅速化と工期短縮を支援する仕組みだ。同社では、こうしたツールによって、開発・運用に携わる人々に「時間のゆとりと心のゆとり」を確保することが、自ずと開発の効率と品質の向上に寄与すると考えているという。
今後は2012年に買収したアプリケーションデリバリツールベンダ、Nolio社のテクノロジを使った、リリース作業を自動化・無人化する製品「CA LISA Release Automation」も提供予定。DevOps支援製品のポートフォリオを充実させる構えだ。以下の記事ではNolio社買収の狙いなどを詳しく解説している。
なお、CA LISA SVは「仮想サービス カスタマイズ機能」も持ち、例えば「平常時の○倍の負荷が掛かった状態」など、1つの仮想サービスを基にさまざまなテストシナリオを実行できる点も大きな特徴としている。テストプロセスの効率化はDevOps実践の鍵となるものだが、スピードと同時に、テスト環境と本番環境の差をいかに縮小するかという品質担保の重要性もあらためて認識させられる。
以上、3ベンダの考え方と製品動向を見てきた。ここで紹介した各社のスタンスから、DevOps実践の普遍的なヒントが浮かび上がってくるのではないだろうか。ぜひ参考にしてほしい。
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