エージェント訪問、その前にエージェント徹底活用法(3)(2/3 ページ)

» 2014年01月16日 00時00分 公開
[リーベル 田中祐介,@IT]

理想は、パートナー1社

 最終的にパートナーにする転職エージェンシーの数は、理想的には1社です。マルチベンダーのプロジェクト経験がある方は、(表面上は協調的に見えても)ベンダー各社がおのおのの思惑を持って行動し、時にベンダー同士の争いでベストな結果を得られないことがあるのをご存じでしょう。それと同じことは、転職活動でも起こり得ます。

 一方で、前回お伝えした通り、転職エージェンシーにはそれぞれ特徴があります。そのため、ご自身の可能性を広げ、転職活動の成果を最大化するためには、数社をパートナーとして選ぶことも必要です。

 支援を依頼するのは、できれば2〜3社にとどめておいた方が良いでしょう。プロジェクトにおいて、ステークホルダーが多過ぎると調整や管理の方に時間を取られてしまうのと同様に、転職活動でもパートナーとなる転職エージェンシーが多過ぎると、選考の突破に集中できなくなります。

 欲張って手を広げ過ぎず、活動全体の最適化を考えて、リーズナブルな数の転職エージェンシーをパートナーにしてください。

エージェンシー訪問の事前準備

 次は実際に、転職エージェントに会いに行きます。時間帯は平日の日中から夕方にかけての時間帯(9〜19時スタート)が一般的です。業務が忙しくて調整が難しい場合は、エージェンシーに相談してください。遅い時間や土日祝日の面談も可能な場合があります。

面談は対面で行うのがベスト

 面談は、外で行ったり、電話やSkypeでも可能ですが、遠方にいるなどの事情がない限りは、転職エージェンシーに出向いて対面で行うことをお勧めします。

 理由ですが、外で面談をする場合、誰が会話を聞いているか分からないので、話が深まらないケースが発生します。私もかつて自身の転職活動時にホテルのロビーで面談したことがあるのですが、周りが気になって落ち着かず、深い話ができませんでした。

 その点、電話やSkypeはプライベートが守られていますので、外での面談よりは深い話ができます。しかし、もともと面識がない上に相手の表情が見えない、もしくは見えづらい状況では、どこまで深く話をして良いのか迷うこともあります。

 一方、訪問での面談は、時間も交通費も掛かりますが、その労力を掛けただけのメリットが得られます。

 まず、転職エージェントが信頼に足る人物かどうかを、自分の目や感覚で確かめられます(Webサイトに写真が載っていても、会ってみると印象が違うことは、ままあります)。そして、外ではできない話を安心して話せたり、資料を見ながら詳しい話ができたり、ホワイトボードを使ってディスカッションができたり、時には秘密の資料を見せてもらえたりするなど、多くのメリットがあります。

 転職エージェントも、わざわざ来てくれた人には、より頑張って支援しようという気持ちが沸くものです。応募先の企業がエージェントの熱意に動かされることもありますので、転職活動を有利に進めるためにも、対面で話をして、お互いに信頼関係を築きましょう。

 なお、どうしても外での面談や電話での面談をせざるを得ない場合は、以下に気を付けてください。

【外面談】

  • オープンな場所は誰に話を聞かれているか分からず、話が深まらない⇒プライベートが守られる場所で話をする
  • 会社近くでの面談は、転職活動の会社バレの可能性がある⇒会社から遠い場所で話をする

【電話面談】

  • 時間が足りないと、深い話ができなくなる⇒時間を十分に確保する(最低でも30分、できれば1時間以上)
  • 騒がしい場所や歩きながらは避ける⇒お互いに気が散らないように、落ち着いた場所で話をする。できれば自宅の、PCの前(必要に応じてデータ共有などしやすいように。Skypeで話せればベスト!)

 これらを全て、面談の場で話しても構いません。

 ただ、面談の時間は限られていますので、事前にできるだけ情報を渡しておく方がベターです。普段のミーティングでも、事前に議題のアナウンスも資料の共有も何もないよりも、資料を含め事前共有がしっかりされている方が、話が深まります。

 忙しくて時間があまりない場合でも、職務経歴書の送付と応募済企業の共有だけは事前にしておきましょう。

複数社、利用するメリット/デメリット

 パートナーとする転職エージェンシーの数は、前述の通り理想的には1社です。ただ、場合によっては、複数社を利用することも必要です。ここでは、複数社を利用する時のメリット/デメリットをお伝えします。

●複数社を利用するメリット

 1番のメリットは、選択肢が広がることです。転職エージェンシーごとに保有している求人は異なります。選択肢をできるだけ多く持ちたい時には、複数社を利用するのがよいと思います。

 もう一つのメリットは、内定獲得率を高められることです。どこから応募しても同じように思えるかもしれませんが、同じ会社の同じ求人でも、転職エージェンシーごとに持っている情報の量や質が異なります。ノウハウが蓄積されているエージェンシーから応募した方が、選考で有利になります。1番有利になりそうなエージェンシーからそれぞれ応募すると、内定獲得率が高まります。

複数社を利用するデメリット

 最大のデメリットは、オーバーヘッド、すなわち本来集中すべきこと以外の手間が掛かることです。利用する転職エージェンシーが1社であれば、情報共有や相談、スケジュール調整などがスムーズに行えますが、複数社と関わっていると、同じことを何度も話さねばなりませんし、スケジュール調整も煩わしくなります。

 もう一つのデメリットは、転職エージェンシー同士の競争に巻き込まれる可能性があることです。エージェンシーによっては、複数社を利用していることが分かると、他エージェンシーを意識した行動を取ることがあります。

 面談後すぐに応募するように促したり、たくさんの企業に応募するように話を持っていったり……。できるだけ早く自社から内定を出そうとエージェンシーが躍起になると、そういったことになるのですが、現職業務で忙しい転職希望者にとって、毎日面接を受けるなどたまったものではありません。それぞれの準備が不十分になり、選考通過の可能性も下がってしまいます。

 別々の転職エージェンシーから内定が出た時も、面倒なことになりがちです。大切な決断に当たってフラットな意見をもらいたいのに、エージェントが他社での内定企業について偏った意見を言ったりすると、何が正しいのか分かりにくくなります。

 エージェンシーを複数利用すると、このようなデメリットが発生する可能性があります。メリットとデメリットのトレードオフを勘案して、何社利用するのかを決めてください(もちろん、転職希望者のことを考えて公平に意見を言ってくれる転職エージェントもたくさんいます)。

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