EMCジャパンの代表取締役社長、山野修氏は、「ITの再定義」を2014年の日本市場におけるキーワードに挙げた。競合として最も意識しているのはAmazon Web Services(AWS)だとし、第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへの橋渡しを支援する役割を果たしていきたいと話した。
EMCジャパン 代表取締役社長、山野修氏は、EMCジャパンが1月29日に開催した2014年戦略説明会で、「ITの再定義」を2014年の日本市場におけるキーワードに挙げた。
同社は2013年、Software Defined Storageの「EMC ViPR」、フラッシュストレージ「EMC XrremIO」を発表するなど、調査会社IDCのいう「第3のプラットフォーム」に向けて、新たな製品を投入した。一方でグループ会社では、ヴイエムウェアが仮想化からクラウド構築・運用製品への広がりを目指す一方、ミドルウェア製品提供企業のPivotalが設立、活動を本格化させた。同社は第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへの橋渡しを支援する役割を果たしていきたいという。
山野氏は、これまで指摘されてきた企業ITに関する日米間の時間差が、特にクラウドサービスに関しては短縮しているように感じると話した。また、「個人的には」と前置きしながらも、競合として最も意識しているのはAmazon Web Services(AWS)だと話した。これに対応し、従来とは異なる取り組みを強化していくという。
例えばサービスプロバイダプログラム。これは、EMCがストレージ製品をデータセンター/クラウドサービス事業者に販売する一方で、EMCの営業担当者が自らの一般企業顧客をこうした事業者に顧客として紹介するというもの。つまり、顧客のビジネス拡大を支援することで、自社製品に対するニーズを高めてもらおうという作戦だ。このプログラムは2013年に開始されているが、2014年はさらに力を入れていくという。
製品に関してはViPR、XtremIOの拡販が1つのテーマ。ViPRについては、難しいものと思われがちだが、ユーザー組織で複数ベンダのストレージが混在する場合、EMCのストレージのみを利用している場合のいずれにおいても、ユーザー組織がデータ管理に集中できる点を山野氏は強調した。「(ユーザー組織は)ストレージを管理したいわけではない」。ViPRはストレージ・ハードウェアを抽象化・仮想化し、バックアップや複製などを含めたデータ管理を統合化できるのが特徴だ。さらに現時点でもAWSのAmazon S3と連動できるなど、社内だけでなくクラウドサービスにもまたがって、ニーズに応じデータを臨機応変に移動できるようになる。
ユーザー組織にとっては、さらに身近な問題への対応に、ViPRを使うこともできると山野氏はいう。ストレージ装置の入れ替えの際、コストと時間が掛かり、リスクを伴うプロセスとして、データ移行がある。ViPRを使えば、旧ストレージから新ストレージへ、ユーザーが気付かないうちにデータを徐々に移すことができると同氏は強調した。
EMCジャパンでは、ヴイエムウェア、Pivotalといったグループ会社との連携を深めていきたいという。これにより、ユーザー組織に対してハイブリッドクラウドを積極的に提案していくとしている。
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