「VB-Report 8」は開発者やエンドユーザーにとってどのようなツールなのか。レビューを行った。
アドバンスソフトウェアは2014年2月27日、「VB-Report 8」を発売開始した。VB-Reportといえば、Excel で帳票をデザインすることのできる帳票生成支援コンポーネントである。
本稿では、業務アプリに詳しいエンジニアライフのコラムニストAhf氏とともに、VB-Report 8を実際に使用したレビューをお届けする。
VB-Reportは、データの差し込みや出力などのプログラミングは開発者が行い、帳票レイアウトはエンドユーザーが作成できることが特徴だ。VB-Reportのような帳票生成支援コンポーネントが登場するまでは、細かいレイアウトや印刷する紙の大きさを変更するために、開発者が随時プログラムを変更しなければならず、全てのデータをプログラム側で持ってしまっていた。しかし、VB-Reportの機能により、プログラミング経験の無いエンドユーザーでもExcelのファイルをそのまま使えるため、後から簡単にレイアウトを変更できる。このため、エンドユーザーは思い通りの帳票を自分で作成できるようになり、開発者は開発コストを大幅に削減できる。Ahf氏は「これまで微妙なレイアウト修正とやりとりにより生じていたエンドユーザーと開発者との摩擦も、これで少しは軽減できるのではないか」と言う。
また、今回新たに追加された新機能について、それぞれ実際に動かしながら見ていこう。追加されたのは「セクションレポート機能」「Web用ビューアコントロール」の2つである。
初めに、「セクションレポート機能」を見ていきたい。セクションレポート機能では、帳票のヘッダー部、明細部、フッター部を各セクション単位で管理できる。Ahf氏によると、データが無いところに空のデータを出すためのプログラムを考えたり、余白部分を計算して複数枚にわたる帳票のプログラムを書くのには手間が掛かっていたが、この機能があることで複雑な連続帳票も簡単に作成できるという。サンプルコードを見てみると、わずか1行でこれらの機能が使えるようになることが分かるだろう(使用例2,3参照)。
さらに、セルデザイナーを使用することで、セルの位置指定などを直感的に操作できるため、少ないコードでイメージに近いものが作れるのも特徴だ。
もう1つの新機能「Web用ビューアコントロール」を使うと、ASP.NET対応のWebコンポーネントで作成した帳票をHTMLに展開できる。これにより、デスクトップPCだけではなく、タブレット端末やスマートフォンでの出力が可能となる。昨今の多様なデバイスの普及により、開発者はそれだけ多くの工数を割かなければならなくなったが、HTMLで出力することにより一気に削減できる。
さらに、Ahf氏はもう1つこの帳票ツールの特徴を見つけた。多くの帳票ツールは有償版のVisual Studioでしか動かないが、「VB-Report 8」の体験版をダウンロードし実際に動かしてみたところ、無償版のVisual Studio Express Editionでも問題なく動作することを確認している。
まだまだ日本企業に需要のある帳票ツールだが、VB-ReportはExcelユーザーにとって、またその周りの開発者にとって「“無駄”なコストを削減する」という意味で注目されているようだ。今後のさらなる進化が楽しみである。
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