NTTコミュニケーションズは2014年4月1日、グループ応答や保留転送、コールピックアップなども含めた企業向け内線電話機能をクラウド側で提供する「Arcstar Smart PBX」の提供を開始した。
NTTコミュニケーションズは2014年4月1日、PBXやビジネスホン主装置が提供してきた企業向け内線電話機能をクラウド側で提供する「Arcstar Smart PBX」を開始した。オンプレミスに設置していた機器本体や運用保守コストの削減、省スペース化などがメリットだ。
PBXは、内線通話機能に加え、グループ応答や保留転送、コールピックアップといったさまざまな機能を備えている。だが、異動や引っ越しなどのたびに専用の業者に依頼して設定変更をしてもらう必要があり、コストや時間の面でロスが生じていた。
Arcstar Smart PBXは、こうした機能をNTTコミュニケーションズのクラウド基盤上で提供するサービスだ。オープンソースのIP-PBXソフトウェア「Asterisk」をベースにしており、グループ着信や保留転送といった「オンプレミスのPBXで提供してきた機能は、ほとんど提供できる」(同社)。
専用機器を自社オフィス内に設置する必要がない上、回線やIDの追加といった作業は、専用ポータルサイト上で行える。このため、例えば3拠点を構える30名規模の企業ならば、コストを約40%削減できるという。
端末としては、いわゆるビジネスホンやIPフォンの他、IP電話ソフトを導入したPCや専用アプリ「Smart PBX」をインストールしたスマートデバイスも利用可能だ。3GやLTE、無線LAN、インターネットなど利用回線は問わず、音声とデータ回線の統合によって、内線通話のコストも無料にできる。外線サービスの「Arcstar IP Voice」と組み合わせて利用することもできる。
ただ、同社ではArcstar Smart PBXのリリースによって、オフィス側に導入されていたPBX機器全てが消えることにはならないとも見ており、あくまで「選択肢の1つ」として提供する予定だ。ボイスゲートウェイを介して既存のPBXとの接続も可能なため、拠点単位で段階的に導入できるようになっているという。
NTTコミュニケーションズは既に、シスコシステムズの製品を活用した「Arcstar UCaaS」も提供している。音声会議やチャット、プレゼンス機能なども含めたユニファイドコミュニケーション機能をクラウドで提供するサービスだ。このArcstar UCaaSが大規模企業をターゲットにしているのに対し、Arcstar Smart PBXは主に国内の中小企業を広くターゲットにするという。
同社は今後もサービスの拡張を進め、2014年上半期中に、連絡先のデータや発着信履歴をクラウド上で管理する「Web電話帳」オプションを追加する予定だ。さらに4月下旬には、クラウド型のコンタクトセンターサービス「Arcstar Contact Center」も提供する計画。ユーザー企業やパートナー企業からのニーズによっては、同サービスのAPIの公開なども検討していくという。
Arcstar Smart PBXの価格は、月額基本料金は1内線グループ当たり5000円、内線番号1つ当たりの月額利用料は500円。新設工事費は1内線グループ当たり1万円となるが、内線通話料は無料だ。
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