ここまでの説明でKickstartに必要なサーバー類の設定は完了です。OSの自動インストールを試してみましょう。
VirtualBox上で自動構築サーバーとは別に、構築検証用のマシンとして新規のVMを作成します。
注意点としては、複数のVM間で通信が可能な設定にしてください。具体的には自動構築サーバーと構築検証用マシン双方の設定で、ネットワークアダプターの“割り当て”を“ホストオンリーアダプター”などVM間の通信が有効な設定にします。
また、システムの設定で“ハードウェアクロックをUTCにする”のチェックを外してください。加えて、構築検証用のマシンは、システムの設定画面にある“起動順序”で“ネットワーク”にチェックを入れてください。
起動の前に自動構築サーバーのコンソールで「tail -f /var/log/messages」コマンドを流しておきます。設定に不備があった場合、問題の発見が容易になります。ここまで準備ができたら、お待ちかねの構築検証用VM起動です!
下にあるようなメニュー画面が表示されない場合は/var/log/messagesでDHCPサーバーが正しくIPアドレスをリースしているか確認します。またTFTPサーバーの設定に誤りがないかも確認します。
先ほどDHCPサーバーの設定をした際にMACアドレスが分からず手順をスキップしていた場合、自動構築サーバーの/var/log/messagesに、以下の「00:01:02:a1:a2:a3」のようにIPアドレスを取得しようとした機器のMACアドレスが記録されていますので、このMACアドレスを前述の手順で登録してください。
# tail -f /var/log/messages Jun 17 17:57:06 builder dhcpd: DHCPDISCOVER from 00:01:02:a1:a2:a3 via eth0: network 192.168.1.0/24: no free leases
また、自動構築サーバーに何もログが出ていない場合は、SELinuxやiptablesが動作している場合が多いので、設定を確認しましょう。
それではメニューを選択しEnterキーを押下します。すると、下の画面のように起動処理が始まって、自動的にGUIのインストール画面となり、インストールが進行していきます。
もし途中で下のような画面で止まってしまう場合は、HTTPサーバーの設定やYumリポジトリの作成で不備がある可能性が高いので、設定を確認しましょう。
インストールが終了して再起動すると、下図のようにログインプロンプトが表示され、OSの自動インストールは完了となります。
次回はシステムの設定や運用管理を自動化するソフトウェアPuppetの導入と動作テストについて説明します。お楽しみに。
R子 ふぅ、やっと動きましたぁ!
K男 お疲れさま。動かすだけじゃなく中身も理解できたかな?
R子 え? あ、その、だ、大丈夫に決まってるじゃないですかぁ!
K男 うん、それは感心。じゃ、これに合わせて設定変えておいて。明日使うからさ。
R子 え? これ手順書じゃなくてパラメーター設計書……(汗)
K男 ん? 中身が理解できたなら設計書あれば余裕っしょ? じゃ、明日までによろしく!
R子 そ、そんなぁ(泣)
手順通りに手を動かすだけではなくて、手順の意味も理解しましょうね、R子さん。
菅原亮(すがはら りょう)
所属:NTT OSSセンタ シニア・エキスパート
1973年生まれ。10歳の時プログラミングに目覚める。
1994年にFM-TOWNS上でLinuxを使い始めて以来、仕事趣味問わずOSSシステムを構築するようになる。
2012年よりOSSシステムの構築自動化に取り組み始め、昔の苦労を懐かしみつつ自動化の普及促進に取り組んでいる。
個人ではNTSyslog日本語対応版など主にWindows用アプリを手掛ける。
趣味は家庭菜園と料理の手動構築で愛車はシルビア。
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