DHCPサーバーを設定する前に確認すべき項目を以下に挙げます。主に物理マシンに対して自動構築する場合とネットワークに関するものです。本連載で使うVirtualBox特有の注意点については後述します。
以上の確認が終わりましたら、DHCPサーバーを設定しましょう。
DHCPサーバーの設定ファイル(/etc/dhcp/dhcpd.conf)は初期状態だとコメント行しかありませんので、必要な設定を追記しましょう。以下の例では接続するネットワークのネットワークアドレスを192.168.1.0/24として記載していますので、環境に合わせて読み替えてください。
subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 { default-lease-time 21600; max-lease-time 43200; option routers 192.168.1.1; option subnet-mask 255.255.255.0; range 192.168.1.128 192.168.1.191; }
設定の意味は以下の通りです。
subnetの後にネットワークアドレス、netmaskの後にネットマスクを記述します。
IPアドレスの標準貸し出し時間です。DHCPクライアントが特に何もしなければ、この時間がIPアドレスの貸し出し時間になります。秒で指定します。例では6時間に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
IPアドレスの最大貸し出し時間です。DHCPクライアントからのIPアドレス貸し出し時間の延長要求があっても、この時間を超えることはできません。秒で指定します。例では、12時間に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
デフォルトゲートウェイのアドレスを指定します。例では192.168.1.1に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
サブネットマスクを指定します。例では255.255.255.0に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
貸し出すIPアドレスのレンジを指定します。この後に説明するhostスコープでMACアドレスとIPアドレスが対応付けされていないDHCPクライアントには、ここで指定したレンジからIPアドレスが貸し出されます。例では192.168.1.128から192.168.1.191までのIPアドレスを貸し出し用として設定しています。
もしMACアドレスと対応付けたIPアドレスのみの貸し出しでしたら、行頭に#を入れてコメントアウトしても構いません。行末はセミコロン(;)が必要です。
次は自動構築する対象のサーバーに対する個別の設定です。以下の例のように必要な設定を追記します。例は1台分の記述ですので、複数台ある場合は台数分記述します。
MACアドレスが分からない場合は、後半で確認方法を紹介しますので、本章は後回しにしてMACアドレスが確認できた後に設定しても構いません。
host client01 { hardware ethernet 00:01:02:a1:a2:a3; fixed-address 192.168.1.11; filename "/pxeboot_cent65/pxelinux.0"; next-server 192.168.1.2; }
設定の意味は以下の通りです。
hostの後に識別可能な名称を記述します。
MACアドレスを記述します。例では00:01:02:a1:a2:a3(架空です)に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
hardware ethernetに設定したMACアドレスに対応するIPアドレスを記述します。例では192.168.1.11に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
TFTPサーバーにあるブートローダーを指定します。TFTPサーバーのルートディレクトリ(/var/lib/TFTPboot/)を起点としてフルパスで指定します。詳細はTFTPの設定で説明します。行末はセミコロン(;)が必要です。
ブートローダーを取得するTFTPサーバーのIPアドレスを指定します。本連載では自動構築サーバー1台で全て賄いますので、自動構築サーバー自身のIPアドレスを記述します。例では192.168.1.2に設定しています。行末はセミコロン(;)が必要です。
ここまで設定できましたら、テストをしましょう。以下のコマンドを実行します。
# service dhcpd configtest Syntax: OK
もしエラーがある場合は、エラー内容が表示されますので修正してください。以下の例では15行目にセミコロンがない個所があると出ています。実際は周辺の行に問題があることも多いので、エラー行の周辺も含めてチェックしましょう。
# service dhcpd configtest Internet Systems Consortium DHCP Server 4.1.1-P1 Copyright 2004-2010 Internet Systems Consortium. All rights reserved. For info, please visit https://www.isc.org/software/dhcp/ /etc/dhcp/dhcpd.conf line 15: semicolon expected. host ^ Configuration file errors encountered -- exiting This version of ISC DHCP is based on the release available on ftp.isc.org. Features have been added and other changes have been made to the base software release in order to make it work better with this distribution. Please report for this software via the CentOS Bugs Database: http://bugs.centos.org/ exiting.
設定に問題がないことを確認しましたら、以下のコマンドを実行してDHCPサーバーを起動します。
# service dhcpd start dhcpd を起動中: [ OK ]
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