クラウドtoクラウドの接続をアプリケーションレベルで制御するネットワーク技術の研究が進んでいる。ネットワーク帯域もインテリジェントなサービスとして利用できるようになるという。
米IBMとAT&T、Applied Communication Sciencesの研究チームは、クラウド間の接続に弾力性(elastic)を持たせてクラウド利用の柔軟性を高める技術を開発し、コンセプト実証のデモを行ったと発表した。
IBM研究所のブログによると、このプロジェクトは米国防高等研究計画局(DARPA)の助成を受け、アプリケーションの必要性に応じてネットワークの自動的なスケールアップやスケールダウンができるクラウドシステムを開発した。
このシステムでは、帯域幅のニーズやどのクラウドデータセンターが接続を必要としているかについて記述した信号を、クラウドデータセンターからネットワークコントローラへ送信する。
クラウドサービスにおけるリソースの柔軟な利用と同じアイデアを使って、アプリケーションが必要とするときにネットワーク接続のプールから帯域幅をリクエストし、ピーク時のニーズに対応した後はクラウドからネットワークキャリアに信号を送り、帯域幅を解放して元のプールに戻す仕組みだ。
これにより、従来は数日〜数カ月掛かっていたクラウド間ネットワークのセットアップ時間が数秒に短縮されることを実証したとしている。
クラウド間コンピューティングにWANを介して弾力性を持たせることで、ネットワークリソース共有の効率性が高まって、運用コストの削減や、サービスの設定や配信にかかる時間の短縮につながるとIBMは解説する。
この技術はいずれ商用化を目指す意向で、「クラウドコンピューティングがもっと動的になれば、考えたこともなかったような新しいアプリケーションもネットワークを介して配信できるようになるかもしれない」(IBM研究員のダグラス・フライマス氏)と予想している。
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