EMCジャパンは7月31日、ハイエンドストレージ「EMC VMAX」、スケールアウトストレージ「EMC Isilon」、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」で、それぞれ新製品を発表した。特にVMAXは、さまざまなデータサービス機能をニーズに応じて追加できるようにし、「ストレージ装置」を超えた「データサービスプラットフォーム」として役立つものになることを目指しているという。
EMCジャパンは7月31日、ハイエンドストレージ「EMC VMAX」、スケールアウトストレージ「EMC Isilon」、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」で、それぞれ新製品を発表した。特にVMAXは、さまざまなデータサービス機能をニーズに応じて追加できるようにし、「ストレージ装置」を超えた「データサービスプラットフォーム」として役立つものになることを目指しているという。
VMAXの新製品「EMC VMAX3」は、CPUやDRAMキャッシュの強化・拡張などにより、従来比最大3倍のパフォーマンスを発揮できるという。また、アプリケーション/用途に応じ、IOPSなどのサービスレベルを動的に、常時調節できる機能を備える。だが、最も大きな変化は「データサービスプラットフォーム」化だ。
VMAX3ではLinuxを動かし、ハイパーバイザを搭載している。これを使い、従来は別の装置やサーバで動かしてきたようなデータ管理に関する機能を、VMAX上に取り込んでいく。
その1つの例はVMAX3で新たに提供される「EMC Protect Point」。これはリモートレプリケーション機能ではなく、データバックアップ機能だ。VMAX3では「EMC Data Domain」に対して、バックアップサーバなどを別途立てることなく直接バックアップが可能だ。これは事実上、バックアップサーバをVMAX3上で動かしていることから実現されている。
興味深いのは、米EMCが7月初めに買収したTwinStrataという企業の製品をVMAX3に今後統合していくとしている点だ。その目的は「パブリッククラウドへのシームレスなアクセス」を実現するためだという。つまり、VMAX上のデータを、その性質やニーズに応じて、事前に設定したパブリッククラウドストレージサービスへ自動的にバックアップ/アーカイブできる。TwinStrataは20以上のクラウドサービスに対応しているという。
さらに興味深いのは、TwinStrataのWebを見るかぎり、この製品の機能はクラウド連携に留まらないということだ。iSCSIやNFSなど多様なプロトコルに対応している。データのキャッシングもできる。WAN/LAN越しに分散ストレージ基盤を構築することもできる。
米EMC エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデントのブライアン・ギャラガー(Brian Gallagher)氏は、VPLEXやIsilonも、同社のラボでは(仮想マシンとして)VMAX3上で動いていると話した。
つまりVMAX3は、現在は別のボックス製品として販売されているストレージも含め、さまざまなストレージ関連ソフトウェアを単一の筺体上で動かすという意味でのプラットフォームに変身しようとしている。
データサービスといえば、EMCが国内でもすでに提供している「Software Defined Storage」コントローラの「EMC ViPR」も、目指していることの1つは異機種ストレージに共通のデータサービスを提供することだ。そこでViPRとVMAXのこの点での棲み分けをどう考えているのかを聞いてみると、EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏は、「高いパフォーマンスが要求されない場合は、ViPRを(一般的な構成で)使ってもらう」と答えた。VMAXでは複数のボックスを個別に管理する煩雑さからの解放を優先するが、将来は併用、つまりViPRのソフトウェアをVMAX3上で動かすというシナリオも描いているようだ。
EMCグループのPivotalは、「データレイク」というコンセプトを推進している。直訳すれば「データの湖」。これは、さまざまなデータをまず1つにまとめ、そこから用途に応じて処理や活用を行う形態が、ビッグデータ時代のアプリケーションには適しているという考え方だ。
Isilonはデータレイクに適したストレージとなるべく、そのストレージOSである「OneFS」で、サポートするプロトコルの拡大を進めている。NFS、SMB、NDMPに加え、最新バージョンOneFS 7.1.1ではSMBマルチチャンネルに対応。さらに年来にはHDFS 2.3、およびSwiftインターフェイスを通じたオブジェクトアクセスに対応するという。
OneFS 7.1.1は、Isilonに搭載したSSDをキャッシュとして使える機能を標準で提供している。1クラスタ当たり最大1PBまでキャッシュを拡張できる。レンダリング、HPC、CADなどの用途に適しているという。
約2年ぶりにハードウェアも新機種が登場。S210は既存のS200に比べ、IOPSが2倍。X410はスループットがX400に比べて70%向上したという。
オールフラッシュストレージのXtremIOでは、新たにエントリ製品として5TB構成のオックスが加わった。また、書き込み可能なスナップショット機能を搭載、CDP(継続データ保護)に近いデータ保護ができるようになったという。保存済みデータの暗号化機能も搭載した。
さらに今四半期中には、インライン圧縮機能を追加、アプリケーションや仮想マシンクローニングのパフォーマンスが向上する。また、20TBのボックスを最大6つでクラスタを構成できるようになるという。
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