家族をサイバー攻撃の脅威から守る――トレンドマイクロがコンシューマー分野における今後のビジネス戦略について発表を行った。
トレンドマイクロは2014年8月6日、コンシューマー分野における今後のビジネス戦略を発表した。サポートサービスを充実させ、家庭内に存在するあらゆるネットワーク接続機器に対し、クラウドゲートウェイで守るモデルを取り入れる。トレンドマイクロはこれらのソリューションにより、2016年末時点において全世界で6300万のコンシューマーユーザーへの拡大を目指す。
トレンドマイクロのコンシューマ分野におけるビジネス戦略は「セキュリティアットホーム」「セキュリティエブリウェア」「セキュリティコンシェルジュ」の3つを柱とする。トレンドマイクロ 執行役員 コンシューママーケティング部 統括部長 吉田健史氏がそれぞれのポイントを解説した。
「セキュリティアットホーム」では、デバイスごとにそれぞれセキュリティソフトをインストールしていたスタイルを改め、デバイスがインターネットに接続するポイントで一括したセキュリティサービスを提供する。これまで企業向けに提供してきたゲートウェイセキュリティを家庭向けにも提供する形で、トレンドマイクロはインターネット家電やウェアラブル端末なども保護の対象として安全に利用する環境を作る。
「セキュリティエブリウェア」の部分では、家庭外に持ち出すデバイスについてもクラウドゲートウェイを提供する。各デバイスは外出先においてもクラウドゲートウェイを経由した通信が可能。クラウドでセキュリティをサービスとして提供するので、必要に応じてデータ共有やパスワード管理などのサービスを追加することも可能としている。
「セキュリティコンシェルジュ」は、コンシューマーユーザーのデバイスからフィードバックされた情報やデバイスの種類、利用状況を基に、ユーザーごとに合ったサポートサービスを受けられる。例えば「最近PCの調子が悪い」「知らない人からメッセージが来たので不安」といった問い合わせを、同社がこれまで活用してきたクラウド基盤、SPN(Smart Protection Network)の情報を基にサポートを行う。
トレンドマイクロ取締役副社長 日本地域担当 グローバルコンシューマビジネス担当の大三川彰彦氏は、世界におけるコンシューマビジネス展開を紹介した。トレンドマイクロのコンシューマー向け販売戦略において、今後スマートフォン、タブレットの増加が見込まれる新興市場では「フリーミアムモデルの導入」を進める。
新興市場においてトレンドマイクロが推し進めるフリーミアムモデルは、トレンドマイクロによって安全が確認されたアプリと、セキュリティ対策アプリとをセットにしてユーザーに無料で提供する。これにより、ユーザーには無料でセキュリティを提供しつつ、ゲームやSNSなどを提供するモバイルプロバイダーとトレンドマイクロが収益をシェアする。すでに台湾においては、大手のゲームベンダー、決済代行業者25社とのアライアンスが発表されており、今後ロシア、トルコ、南米でも展開を予定している。
トレンドマイクロ代表取締役社長のエバ・チェン氏は、ITの進化で家族のコミュニケーションの形も変わってきたと述べる。「モバイルデバイスや情報家電が普及したことで、家庭内はネットワーク環境が整い、まるで小さなオフィスのようになっている。利便性は高くなったが、リスクも伴う」と述べる。SNSでは個人情報の流出や不正ログインが頻発し、「オンラインでつながればつながるほど、リスクが高まる」(チェン氏)と指摘する。
これまではセキュリティ対策がデバイス単位で提供されていたため、家庭内のIT管理者は個別に有効期限や設定などをチェックする必要があった。トレンドマイクロはサポートと組み合わせてセキュリティを提供することで「専門家でなくても、家族をサイバー脅威から守れる」(チェン氏)とした。
今回発表されたコンシューマ向け新戦略に沿った製品、サービス名などは、改めて発表が行われる予定だ。
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