デスクトップ仮想化の概要と、デスクトップ仮想化が登場する以前のシンクライアントとの違い、構成要素、3つの特徴、ユーザー/システム管理者/経営者の視点で見るメリット/デメリット、今後について解説する。
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デスクトップ仮想化とは、クライアントPCのデスクトップ環境をサーバー上で稼働させる仕組みです。「クライアント仮想化」や「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」と呼ばれることもあります。
デスクトップ仮想化を使うと、クライアントPCの環境を別のPCやタブレット端末に映し出せるので、いつでもどこでもデスクトップ環境を実行できる利便性の高さに注目が集まっています。
デスクトップ仮想化技術は2008年ごろから存在していますが、近年この技術を支えるサーバー/ネットワークの技術が大幅に進展したことにより、投資対効果の高い技術として急速に普及しています。
デスクトップ仮想化が登場する以前のシンクライアントは、Windows Serverの標準機能を利用したターミナルサービス方式が主流でした。
図1における以下のアイコンはユーザーデータの場所を示します。
ターミナルサービス方式はWindowsのマルチユーザー機能を利用したものです。1つのサーバーに複数のユーザーがリモートログインし、共有して利用します。
ブレード方式は、高集約のブレードサーバーで、1クライアントごとに1ブレードを割り当てたデスクトップ環境を利用するものです。
デスクトップ仮想化方式はサーバー仮想化技術を利用した仮想マシンで、クライアントのデスクトップ環境を提供します。
ターミナルサービス方式は、アプリケーションの互換性やユーザーが自由にアプリケーションをインストールできないことが大きな課題となっていました。そこで、日常的に使っているクライアントPCと同様の利便性をユーザーに提供できるデスクトップ仮想化方式が注目されました。
しかし当時、デスクトップ仮想化を導入するにはハードウェアスペックの高いサーバーとストレージが必要であったため、コスト面からデスクトップ仮想化方式ではなくターミナルサービス方式が選択されていました。
近年はサーバー/ネットワークの技術革新が進み、1ソケットのCPUに10コア以上が搭載されているサーバーをエントリーモデルから選択できる他、数百GBのメモリも搭載できます。デスクトップ仮想化方式も導入され始め、サーバー1台当たりに100台以上の仮想デスクトップを稼働させることも珍しくありません。フラッシュを用いた高速ストレージも登場し、デスクトップ仮想化の投資効果が得られやすい状況となってきました。
現在、代表的な仮想デスクトップを実現するソフトウェアとしては、ヴイエムウェアの「VMware Horizon(with View)」、シトリックスの「Citrix XenDesktop」、マイクロソフトの「Microsoft VDI」などがあります。
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