生体認証を使い、「脱パスワード」も視野に。マカフィーがセキュリティ対策ソフトウェア新版の発表とともに、将来の認証手段を予測した。
マカフィーは2014年9月30日、「McAfee LiveSafe 2015」をはじめとする個人向けセキュリティ対策ソフトウェアの新版を発表した。2014年10月17日から販売を開始する。
同社の個人向けセキュリティ製品には、Windows PC向けの「McAfee AntiVirus Plus」「McAfee Internet Security」「McAfee Total Protection」の3種類と、MacやiOS、Androidを搭載したスマートフォン、タブレット端末を含むクロスデバイス向けに保護を提供する「McAfee All Access」「McAfee LiveSafe」がある。
このうちMcAfee LiveSafeは、ウイルス対策やフィッシング対策、迷惑メール対策、ファイアウォール、ソフトウェアアップデート状況の確認による脆弱(ぜいじゃく)性対策といったセキュリティ機能に加え、個人情報保護やパスワード管理、生体認証を組み合わせたオンラインストレージなども含んだ包括的なセキュリティソフトだ。個々の機能単体ならば同種のツールはあるが、「スマートフォンを含むマルチデバイスを、一つのコンソールで集中管理できることが特徴」(米マカフィー チーフ コンシューマ セキュリティ エヴァンジェリスト ギャリー・デイビス氏)という。
2015年版では、パフォーマンスおよびマルウェア検知率の改善を図った他、電子メールから容易にインストール作業を行える「簡単インストール」機能も提供する。。また、iPhone、iPad向けに紛失・盗難対策機能を強化し、Android向けにはパスワード設定がなく危険性の高い無線LANネットワークに接続しようとすると警告を発する機能を追加している。
デイビス氏は昨今の脅威の傾向を振り返り、モバイルデバイスやIoT(Internet of Things)をターゲットとした脅威の増加や個人情報漏えい事件の多発によって、プライバシーやアイデンティティの確保に対する「信頼」が揺るいでいると指摘する。「Intel Security」としてさまざまなポイントにシンプルで使いやすい形でセキュリティを組み込み、インターネットを安全、安心に使えるようにしていきたいと述べた。
なお同社は先に「2025年の未来におけるテクノロジーとセキュリティに関する調査」をオンラインで実施している。これによると、2025年には「指紋認証による支払い」が可能になると回答したのはグローバルで31%、日本人では19%。また、「モバイルデバイスのロック解除を目のスキャン(アイスキャン)で行うようになる」と回答したのは、グローバルで42%、日本人では43%だった。一方で、「オンラインアイデンティティの管理がよりシンプルになる」という回答はグローバルで67%、日本人でも61%に上った。
デイビス氏はこの調査結果に触れ、「バイオメトリクス認証の中でも、指紋や虹彩認証といった手段に変わり、音声認識や顔認識といった手段が広く使われるようになると考えている。こうした認証方式は、モバイル端末が備えているマイクやカメラを用いれば簡単に利用できる。また別の方法として、最近次々と登場しているウェアラブルデバイスを認証に用いるという可能性もあるだろう。ウェアラブルデバイスそのものを認証に用いることも可能だろうし、デバイスで測定した心拍数のパターンを基に個人を認識できる可能性もある」と解説した。そして、「このような生体認証が普及していけば、あと5年程度でIDとパスワードに頼らなくても済むようになるかもしれない」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.