オラクルがIcehouse版をベースにしたOpenStackディストリビューションを発表。エンタープライズ利用でのサポートを充実させ、自社既存製品群との連携にも注力している。
日本オラクルは2014年10月8日、Icehouse版をベースにした「Oracle OpenStack for Oracle Linux」を発表した。「Oracle Linux」および「Oracle VM」を介してOpenStack環境を構築・運用できる。オラクルによるOpenStackディストリビューションは、2014年5月にアトランタで開催された「OpenStack Summit」でβ版として発表していたものが、ついに一般向けに正式公開となった。
「Oracle Linux Premier Support」および「Oracle VM Premier Support」の契約者は「Oracle OpenStack for Oracle Linux」を追加料金なしで利用できる(「Oracle Public Yum Server」および「Unbreakable Linux Network(ULN)」からダウンロードできる)。ゲストOSはOracle Solarisを含め、Oracle VM上で動作するものであれば動作する。
OpenStackを利用したIaaS環境の企業利用に注目が集まる中、オラクルでは「電話1本でバックエンドのデータベース、Oracle Linux、ゲストOS、インフラストラクチャを含む全てのOpenStackデプロイメントを包括的にサポート」するとし、企業の情報システム部門が求めるワンストップでのサポート体制を強みの一つとしていくようだ。
Oracle版OpenStackの特徴として同社が示しているのは、Oracle製品ユーザーが同製品をベースにしたOpenStack環境を導入、統合することで、単一のサポート窓口経由でOpenStackベースのIaaS環境構築・運用サポートを受けられる利点である。2014年9月29日にラリー・エリソン氏が発表した内容(「オラクルのクラウドサービスは互換性維持を重視、パートナープログラムの拡充も」)と照らして考えると、その方向性がより分かりやすくなるかもしれない。
この他、ストレージ製品「Oracle ZFS Storage Appliance」のユーザーは「Oracle ZFS Storage Appliance Cinder」プラグインを介して環境を統合できる。ストレージ環境に関しては、レッドハットがOSSとして提供している「Ceph」も選択できる。
なお、同社製品の技術ドキュメントなどを公開している「Oracle Technology Network」では、OpenStack導入までの流れを解説したOracle VM VirtualBoxイメージを公開している。
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