日本マイクロソフトは2014年10月9日、「Microsoft Azure Site Recovery」の正式提供を10月3日から開始したことを発表した。また、導入支援パートナー16社がソリューションを提供することや、Windows Storage Server 2012 R2を搭載したNAS製品を提供する3社がバックアップソリューションを提供することも発表した。
「Azure Site Recoveryサービス」(以下、ASR)は、オンプレミスやプライベートクラウド上の仮想マシンをクラウド(Microsoft Azure)に丸ごとアックアップし、障害時などの万が一の際にフェイルオーバーできるサービスだ。
オンプレミス側に別途バックアップサーバーを用意することなく、クラウドを活用することで簡単かつ安価に導入できるため、これまでコストや技術的な問題からBCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)対策を行えなかった中堅中小規模の企業も本格的に取り組めるようになる。
日本マイクロソフト佐藤久氏(サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長)は「これからクラウドを始めるのなら、そのファーストステップとして、ASRでBCPやDR対策を行うことをお勧めします」と話す。
ASRは、すでに16社の導入支援パートナーがソリューション提供を表明している。
10月9日から「ASR導入支援サービス」の提供を開始し、「ASR運用代行サービス」の年内提供を予定している大塚商会の下條洋永氏(マーケティング本部 共通基盤Webサービスプロモーション部 MS Webソリューション課 次長の)は次のように話す。
「大塚商会では『Hyper-Vレプリカ運用支援サービス』をすでに提供しており、仮想マシンのバックアップに関しては多くの実績を持っています。そして、私たちの特長は単に導入を支援するだけでなく、何かあった場合にすぐにフェイルオーバーやフェイルバックをお客さまに代わって実行する“運用代行サービス”を提供できます」(下條氏)
同じく日本ビジネスシステムズ(JBS)も10月9日から「Azure Site Recovery災害対策ソリューション」の提供を開始している。
NAS(Network Attached Storage)サーバー製品を提供するアイ・オー・データ機器、ロジテック、バッファローの3社も、Windows Storage Server 2012 R2を搭載したNASサーバーからMicrosoft Azure BLOBストレージに簡単にバックアップできるソリューションの提供を開始した。このソリューションは、Microsoft Azureの「Azure Back」サービスを利用している。
各社はそれぞれ、専用アプリケーションをNASサーバー製品に搭載し、簡単な導入と操作でクラウドへのバックアップを実現している。
「Windows Storage Server 2012 R2を搭載したNASサーバーは、サポート終了を迎えるWindows Server 2003のマイグレーションパスの一つとして検討できます。多くのお客さまは仮想化を前提にマイグレーションを進めており、バックアップやリカバリをどうするかという課題を抱えています。マイクロソフトとしては、できるだけ簡単なソリューションでそうした課題の解決を支援していきたいと考えています」と日本マイクロソフトの藤本浩司氏(サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドビジネス開発部部長)は話す。
日本マイクロソフトではASRとAzure Backupの導入促進キャンペーンを10月1日から開始している(2015年6月30日まで)。Enterprise Agreement(EA)、Enterprise Subscription Agreement(ESA:企業・公共機関向け)、Enrollment for Education Solutions(EES:教育機関向け)の各ライセンスがある場合は、Azure Backup(単体参考価格2109円/月額)とASR(単体参考価格4035円/月額)のセット合計6114円が、43%ディスカウントのキャンペーン価格2657円/月額で提供される。
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