日本IBMがサーバー製品およびストレージ製品などを管轄するシステム製品事業の戦略を発表した。「ハイバリュー」を軸にした展開を推進するとしている。
2014年10月15日、日本IBMはシステム製品事業の戦略説明会を開催した。
冒頭に登壇した日本IBM 常務執行役員 システム製品事業本部担当 武藤和博氏は、戦略の軸を「ハイバリュー」の提供に置くことを示した。武藤氏は「Brain Cubeと名付けられた2020年のITインフラを支える技術を開発するために、この5年間で3000億ドルもの投資を決定している」と語り、同社の技術開発戦略が、技術ロードマップに即したもであり、この将来展望を踏まえた技術的優位性によって、「ハイバリュー」の継続的な提供を推し進める考えであることを強調した。
直近のシステム製品事業展開においては「CAMSS提案力の向上」を「ハイバリュー」の一つの軸に掲げている。CAMSSとはCloud、Analytics、Mobile、Social、Securityの頭文字だ。これらの領域に適用するソリューションに特化した人材育成への投資を社内外で推進し、かつ、組織内ではCAMSS専門チームを編成するという。これらと並行して、アセスメントやコンサルティングを実施することで、顧客に「ハイバリュー」を提示するとしている。
続いて登壇した日本IBM理事 システム製品事業本部 ハイエンド・システム事業担当 朝海孝氏は、ジェフリー・ムーアの企業戦略論を引用し、企業の成長過程におけるITシステムの要件を二つに分類、一つは企業の差別化要因となる価値を生み出す「コアビジネス」、もう一方のバックオフィスなどの既存業務を「コンテキストビジネス」と整理するところからプレゼンテーションを始めた。
このうち、コアビジネスのIT環境には、差別化となるサービスをいち早く提供するなどの”迅速さ”が要求される、と指摘。DevOpsやアジャイルといった手法を適用しやすい環境が求められるが、一方で、ソフトウェア的に実現するITによる差別化は、他の追随が早く、急速にコモディティ化する場合が少なくないことにも触れた。
朝海氏は「コモディティ化した際に求められるのは、『できて当たり前』であること、『堅ろうであること』であり、インフラとしてどれだけ信用できるかという点が要件になる」とし、データを中核に置きつつ「相反する二つの要件をカバーする単一のアーキテクチャが必要である」とした。また、コンテキストビジネスの領域に移行したシステムの堅ろう性は、アジリティに特化した環境だけでは担保できず、「System zのような堅ろう性を持った環境が必要になる」と述べた。ここでいう堅ろう性とは、汎用PCにはない、ハードウェアによる暗号化やメモリアドレス保護機構による、改ざんリスク排除など、System zおよびzOSやAIXの特徴を指している。
むろん、同社としては、先の記事で紹介した通り、レノボとの協業を軸にしたIAサーバーも含めた製品ポートフォリオを包括的にカバーする「ハイブリッドクラウド」環境に適材適所で配置し、それらを透過的に扱える管理環境を持つことに注力しており、ストレージ領域では「Elastic Storage」を、サーバー管理にはOpenStackをベースにした「IBM Cloud Manager with OpenStack」を展開していくことに変わりはない。加えて、IaaSサービスである「SoftLayer」も提供しており、それぞれがAPI経由で連携できるポートフォリオを持っている。その中でも、System zや同社ストレージ製品群は、データ資源の中でも「ミッションクリティカルなデータ」を支えられる製品として「ハイバリュー」を提示できる、としている。
「汎用サーバー製品向けの環境が上位互換性をどこまで保証するか? System zはこの点を保証できる製品。加えて、ハイブリッドかつオープンな環境とも連携できる。データを軸に、システムを構築する際に適材適所で配置ができる環境をそろえられる」(朝海氏)
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