米Amazon Web Services(AWS)が2014年11月12日、年次カンファレンス「re:Invent 2014」で、新たなデータベースサービス、「Amazon Aurora」を発表した。商用リレーショナルデータベースで得られる堅牢性、パフォーマンスのメリットを実現しながら、コスト、オープン性を大きく改善することが目的だ。
米Amazon Web Services(AWS)は2014年11月12日、年次カンファレンス「re:Invent 2014」で、AWS シニア・バイスプレジデントのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏が、7つの新サービスを説明した。ここではMySQL互換の高速データベースサービス「Amazon Aurora」について紹介する。
[2014/11/17追記]「Amazon EC2 Container Service」および「AWS Lambda」については、「AWSの新サービスLambdaとECSは、何であり、何でないのか」をお読みください。
AuroraはストレージエンジンとしてInnoDBを使用した、MySQL互換のデータベースサービス(現在MySQL 5.6)。Amazon RDSのサービスの1つとして位置付けられている。現時点ではUS East (Northern Virginia)リージョンのみにおいて、無償のプレビューサービスとして、限定的に提供されている。
これは、商用データベースの代替となることを目指したサービス。事実上の「Oracle Databaseキラー」だ。「商用データベースのパフォーマンスと堅牢性を、オープンソースデータベースのオープン性とコストで実現する」(ジャシー氏)という。コストは商用データベースにファイバチャネルストレージを組み合わせたソリューションの10分の1、パフォーマンスはMySQLの5倍としている。スケーリング、バックアップ、フェイルオーバーなどさまざまな点で、運用の自動化が図られている点も大きな特徴で、運用負荷の低減を最大の理由として導入するユーザーも多そうだ。
Auroraは、SQLアクセスを受け付け、トランザクション処理を実行するデータベースインスタンスとストレージエンジンを分離した設計となっている。データベースインスタンス側では、SSDでデータをキャッシュすることで、高速化を図っている。ストレージについては、データベースボリュームを10GB単位に分割して複数のディスクに分散。さらに3つのAvailability Zoneにまたがる6コピーのレプリカを持つ構成となっている。ストレージ側でもSSDを活用し、高速化を図っている。
SysBenchによるベンチマークテストでは50万セレクト/秒、10万アップデート/秒を達成、同一のハードウェアで動かしたMySQLに比べ、5倍のパフォーマンスを示したという。
データの可用性に関しては、2つのコピーが失われても、書き込みは可能で、3つのコピーが失われても、読み込みは可能な設計になっているという。データを常にスキャンし、エラーを検知、データベースのパフォーマンスに影響を与えずに、バックグラウンドで自動的に修復するという。
バックアップはAmazon S3に対して自動で継続的に実行される。こちらも、スナップショットの場合のように、実行中データベースのパフォーマンスに悪影響を与えることはないという。
データベースインスタンスの最大構成は仮想CPUが最大32、メモリは最大244 GB。ストレージは10GBから64TBまで、10GB単位で自動的に拡張される。Amazon RDS for MySQLのように、拡張のためストレージサイズの設定を変更し、データベースインスタンスをリブートする必要はないと、アマゾンデータサービスジャパン 技術統括部長 玉川憲氏は説明している。
Amazon RDSでは、すでにMySQLが提供されている。これとAuroraは、どう使い分けられるのだろうか。「基本的にはAuroraを使ってもらってかまわない」(玉川氏)という。もちろん料金次第ではある。料金表を見る限り、最低スペックは2仮想CPU、メモリ15.25GBで、0.29ドル/時だ。MySQLからの移行は、数クリックで済むという。
玉川氏は、Auroraについて、一般企業だけでなく、現在MySQLを使っていて運用に課題を抱えているオンラインゲーム業界などでも、採用が進むだろうと話している。
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