Google Chromeの魅力の1つとしてよく語られる「拡張機能」。何ができるのでしょうか? 基本的な概念と拡張機能の例、注意点をコンパクトに説明します。
Google Chrome(以下、Chrome)のメリットとして、豊富な「拡張機能(Extensions)」(Chrome拡張とも呼ばれる)の存在が挙げられます。名前からは、Chromeの機能を拡張する何かだと想像できます。WindowsユーザーならInternet Explorer(IE)のアドオンを連想するかもしれません。でもその実体は? よく分からないけど便利だからと使ってよいのでしょうか?
こうした疑問を持つChromeユーザーを対象に、本稿ではChromeの拡張機能についてコンパクトに説明します。
Chromeの拡張機能を一文で説明するなら、「Chromeの機能を増やしたり強化したりする専用の追加プログラム」と表現できるでしょう。プログラムの実体は、JavaScriptやHTML、CSSといったWebの技術によって記述されています。Chromeにインストールされた拡張機能は、その上で実行され、Chrome提供のAPI(アプリケーションプログラムインタフェース)を使いつつ、本来のChromeにはないさまざまな機能を提供します。
Webサービスと連携している拡張機能もたくさんあります。拡張機能のアイコンをクリックすると単にWebサービスのページが表示されるだけ、といったものから、Webサービスのフロントエンドとして稼働し、Chrome単体の場合と比べて使い勝手を大幅に高めているものもあります。
ここで拡張機能の具体例を挙げてみましょう。いずれも後述の「Chromeウェブストア」から容易にインストールできるものです(拡張機能名のリンク先は、Chrome ウェブストア内にある配布ページです)。
「AutoPagerize」をChromeにインストールしておくと、複数のページに分割されたWebコンテンツをスクロールしていくだけで自動的に1ページに結合されて、そのまま読み進めることができます。
「Google Mail Checker」をインストールすると、サインインしたGmailの未読メール数がアイコン上に重なって表示されます。Gmailをわざわざ開かなくても未読メール数が分かるので、メールの着信確認のためにいちいち作業を中断しなくても済みます。
「IE Tab」をインストールすると、Chromeのブラウザペイン内に、IEの描画エンジンで描画したWebページを表示できます。例えばIEでしか正しく機能しないイントラネット上の古いWebアプリを使う際、いちいちChromeからIEに切り替えることなく、Chromeだけで作業ができます。
なお、IE Tabをビジネスで利用する場合は、1ライセンス19ドルの料金を支払う必要があります。その代わり、グループポリシーでの配布や広告の非表示などの機能が利用できます(IE Tabの「Pricing」ページ参照のこと)。
拡張機能の特長の1つは、デスクトップ版Chromeが実行できるなら、一部の例外を除いて、プラットフォーム(OS)に依存することなく利用できることです。これは、拡張機能の開発に使われているJavaScriptなどのプログラミング言語が、直接プラットフォームには依存していないためです。
上記で「デスクトップ版」と断ったのは、モバイル環境では拡張機能が利用できないからです。Androidスマートフォン/タブレットやiPhone/iPad/iPod touchのようなモバイル端末でも、Chromeは利用できます。しかし拡張機能はインストールすらできません。
もう1つ特筆すべきことは、世界中の開発者や企業からたくさんの拡張機能が開発・配布されていることです。しかもその多くが無償でインストールできます(ただし、バックエンドのサービス利用料など、個別に料金が課されている場合もあります)。
拡張機能を作った開発者や企業は、「Chromeウェブストア」というGoogle提供のマーケットプレースに拡張機能を登録して配布しています。ユーザーがそれを利用するには、Chromeでこのストアにアクセスし、目的の拡張機能を探してインストールするだけです(このときChromeの再起動は不要)。短ければ数クリックで完了するという手軽さです。
Chromeウェブストアからインストールされた拡張機能は通常、開発者がChromeウェブストア上でプログラムを更新すると、自動的にChrome上でも更新されます。つまり拡張機能は、ユーザーが手を煩わせずとも、最新の状態に維持されるということです。
拡張機能がプログラムの一種である以上、マルウェアなどが混入する危険性からはどうしても逃れられません。
過去の例では、開発者から拡張機能を買い取った別の業者が、マルウェアを混入した更新版を配布したことがあります(その拡張機能は後日、Chromeウェブストアから削除されました)。また筆者の周りでも、ある拡張機能が原因で怪しい広告がブラウザペインに表示されたことがありました。
ただし、例えばWin32ネイティブアプリなどに比べれば、拡張機能の自由度は低く、悪用できる機能も限定されます。脆弱(ぜいじゃく)性を突かれると予想外の被害が生じる可能性は残るものの、それは他の形態のプログラムにも当てはまります。拡張機能を全面的に避けるほど危険とは言えない、というのが筆者の考えです。
マルウェア混入対策としては、
といったことが挙げられます。
さて次は、Google Chromeの拡張機能の追加・削除・設定について説明します。
■更新履歴
【2018/05/23】スクリーンショットを刷新しました。最新版Chromeの情報を反映しました。
【2015/02/05】初版公開。
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