シスコ、日本の中小企業専用ネットワーク製品ブランド「Cisco Start」を発表クラウドセキュリティサービスとも連動

 シスコシステムズは2015年9月16日、日本の中小企業に向けて、ネットワーク製品ブランド「Cisco Start」を発表、製品の提供を開始した。これは日本市場だけのために企画した製品ブランドであり、日本専用の製品を投入していくという。

» 2015年09月17日 09時36分 公開
[三木 泉@IT]

 シスコシステムズは2015年9月16日、日本の中小企業に向けて、ネットワーク製品ブランド「Cisco Start」を発表、製品の提供を開始した。これは日本専用の製品ブランドであり、日本専用の製品を投入していくという。全ての活動を日本市場のために企画した新ブランドで、シスコはマーケットシェアの拡大を目指す。

 シスコが日本市場で中小企業向けの製品を販売するのは初めてではない。だが、これまでは世界的なプログラムをほぼそのまま日本市場に持ち込んでいたため、日本市場の実情に合わない部分があった。今回は製品、販売方法、サポート、マーケティングなど、あらゆる面で日本市場だけを考えたプログラムだという。

 まず、Cisco Startでは従業員数100名以下の企業にターゲットを絞っている。より具体的には、ヤマハのルータ、アライドテレシスのスイッチ、バッファローの無線LAN製品を使っている企業だ。Cisco Startは、これらの国内ネットワーク製品ベンダーを研究し、自社が不利な点をつぶしている。そのうえで、ユーザー企業に、一社の製品で完結したほうが有利だと訴えることが、基本メッセージとなっている。

 Cisco Startは、WAN接続ルータ、LANスイッチ(インテリジェント/ノンインテリジェント)、無線LANアクセスポイント、統合セキュリティアプライアンスで構成されている。このうちルータについては、日本専用モデルを投入した。他は現在のところ既存製品の流用だが、例えば無線LANアクセスポイントはコントローラを内蔵したものを採用している。今後、日本専用の製品を増やしていくという。

左から、日本専用のWAN接続ルータ「Cisco 841M J」、LANスイッチ、無線LANアクセスポイント

 国内の中堅・中小企業向けネットワーク製品市場を攻略するうえで、まず重要なのは価格。日本専用ルータの「Cisco 841M J」は、基本モデルの標準小売価格を4万円台に設定している。製品価格に2年間の保守を含んでいる点も、今回の新しい取り組みだという。

 販売に関しては、シスコ製品のディストリビュータの一社であるダイワボウ情報システム(DIS)が全面協力している。シスコとDISは二次店に対するセミナーを開催するなど、販売支援活動を共同で推進していく。一方でシスコは今回、オンライン販売も行う。NTT-X Storeが、発表当日にCisco Start製品の販売を開始した。

 サポートについては、シスコが直接ユーサーからの問い合わせを受け付ける窓口も設ける。また、日本語マニュアルや関連資料を整備しており、サポートコミュニティも運営していくという。

安価に使えるセキュリティサービスが面白い

 製品に関しては、価格を抑え、設定を容易にしながらも、同社のIOSの機能を生かせる点がポイントとなっている。

 まず、例えばルータのCisco 841M-Jでは、完全に日本語化されたWebブラウザベースの設定・運用管理ツールを提供している。初期設定はウィザード形式で、ネットワークサービス事業者から送られてきた情報を入力していくだけで済ませられる。このルータは、他のシスコ製品と同様、TFTPサーバーから設定を送り込むことによる、完全な自動初期設定にも対応しているという。

 管理ツールでは、ルータ自体の稼働状況がグラフで見られるのをはじめ、多様な機能を提供している。VPNは、Cisco IOSのDMVPN(Dynamic Multipoint VPN)にも対応。ハブ―スポーク型でなく、小規模拠点同士の直接VPN接続を、容易に設定することが可能という。トラフィック監視については、同ツール上で、アプリケーションごとの通信量やIPアドレスごとのトラフィック統計がグラフィカルに表示できるため、私用を抑制するなどの対策がしやすいという。

管理ツールは、Webブラウザベースで、多様な機能を提供する。ユーザーインターフェースは完全に日本語化されている

 LANスイッチの設定も、このツールからTFTPで送り込めるようになっている。つまり、Cisco Startでは、ルータが起点となり、他の製品の設定や運用を自動化している。

 Cisco Startで特に注目したい点が2つある。1つは無線LANアクセスポイントに、コントローラが内蔵されたモデルを提供していること。これは、小規模企業でも、ネットワークニーズが高度化していることに対応するものだという。

 もう1つはシスコのセキュリティサービスとの連動。ルータ購入時に、約1万円の料金を上乗せすると、2年間のサービスを受けることができる。内容は、シスコのクラウドが、URLフィルタリングやウイルスチェックを提供するというもの。端末ごとにウイルス対策ソフトを導入し、これを管理する代わりに、このサービスを導入すれば、コスト効率がよく、運用も楽になるという。このサービスは、マイナンバー対策としても有効という。

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